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発明者の氏名をどう書くか問題

特許のプロのみなさん、発明者の氏名って、どうしてますかね。

いや、法上の発明者をどう峻別すんのかという難しい話ではなくて、例えば、結婚して姓が変わったけど旧姓で書きたいっていう発明者、いるじゃないですか。会社では旧姓使ってるんで同じ名前使いたいとか、旧姓で論文をいくつか発表してて学会ではそのままの名前で継続して論文かいてるんで、特許出願の氏名もそれにあわせたいとか。

どうしてますかね、こういう時。なんて答えてます?

「ダメです。戸籍上の名前で書いて下さい」

っていうのが教科書的な正しい回答ですよね。 特許庁が出してるQ&Aにもそう書いてあります。

https://www.jpo.go.jp/shiryou/kijun/kijun2/pdf/binran_mokuji/00_11.pdf

まあそれもわからなくはないですけど、あまりにも杓子定規だし、突き詰めて考えるとスジも通ってないと思ってます。あんまり大きな声ではいえないですけど、私は、「発明者の記載は本人の名誉的なものでもあるので、本人が書きたい名前で良いと思います。それで問題になったという話も聞いたことがありません」と答えてます。

これって問題になりうるとしたら、発明者が退社して敵方として現れて、権利行使の場面で発明者の氏名が正式なものでないから権利に瑕疵があるって本人が主張する場合、くらいでしょうか。ちょうレアですよね。ちょうレアだし、その主張、無理スジですよね。

だいたいさ、氏名って、高橋さんのハシゴダカの高とか、斉藤さんのサイとか、国字とか旧漢字とかの場合は▲▼つけて違う名前で書くことを強制されるじゃないですか。そもそもが「本来の正しい名前」を受け付けられるようになってないんですよ、システム自体が。そのくせに、「正しい名前」をかけって、おかしくないですか。傲慢ですよ。

アルファベットも許されてないですよね、システム的に。例えば、Costnerって名前を日本語で「コスナー」ってかくか「コストナー」ってかくかって、本人が決められて然るべきですよね。ていうか、日本に住んでる期間の長い外国人の中には、カタカナで名前を書くことを嫌がる方もいるんですよ。それでもカタカナで書けっていうのは、名誉権の侵害ですよ。「越須奈亜」(こすなあ)みたいな名前表記、許されるべきだと思いますよ。台湾なんかの出願ではナチュラルにそうなりますけど。

ちなみに、一応、特許庁に電話して聞いてみたことがあるんですけど、ダメっていわれましたね。まあここまでは想定内でしたけど、じゃあもしこの「越須奈亜」のような記載で出願したら、どうなりますか?これを理由に補正指令だしたりとかしますか?って聞いたら、「そうです」といわれました。マジかよ。本当にだすのかどうか知らないけど。本当にきたら行政訴訟で戦いたいところですね。日本でも、在住の外国人の住民票は↑ああいう当て字の漢字で登録できるんですよね。だから、日本では「正式な名前」ですけど、なにか。みたいな。

外国人のミドルネームどこまでかくのかっていう問題もありますよね。ミドルネームいくつもある場合はどこまで書くんだとか。スペイン人とか、「正式な名前」だと10個とか20個とかミドルネームあるっていいますよね。文字数的に全部かけないじゃないですか、システム的に。

あとですね、姓と名とをわけてかけっていわれても、例えばインドネシア人とか、姓ってないらしいんですよ。名前だけ。わけてかけっていわれても、悩みますよね、どう書くか。アメリカのパスポートとかはそういうのもうまいことかけるようなフォーマットになってるらしいんですけどね、そういうところはさすがアメリカですね。

というわけで、「正式な名前」を書け、っていうのがそもそもスジ通ってないんだから、中途半端に「正式な名前」押し付けるのナンセンスだろ。と思ってるんですけど。どうですかね。