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code(プログラムコード)とcode(法律)

ohhhhhh・・・・・・・shit!頭痛て。また呑みすぎた。
今日も二日酔いでエントリー行きます。

code

code
【名】
《法律》法体系{ほうたいけい}、法典{ほうてん}
《法律》〔地方自治体{ちほうじちたい}の〕条例{じょうれい}、規約{きやく}
作法{さほう}、行動{こうどう}規範{きはん}[規約{きやく}]
記号{きごう}、符号{ふごう}、コード
《コ》コード、符号

というわけで、英語ではcodeはプログラムコードを示すとともに法典を示す。(参考。後半の部分

インターネット社会の行動規範は法典よりはプログラムコードに支配されているため(例えば、インタ−ネット上では発言する内容は自由だが、如何に発言するかについては予めコーダーにコーディングされた行動しか取れない)、インターネット社会においてコーダーは立法者となる。ということをいちはやく話題にしたのがローレンス・レッシグ*1御大で、彼の最初のマスターピースの題はその名も『コード』。最近v.2が本になった。


CODE VERSION 2.0

CODE VERSION 2.0


ところで、法律の考え方とプログラムの考え方って似てる。と思っている。

例えば・・・

(プ)スーパクラス(またはmain()または.h)を頂点とした階層構造で成り立っている。
(法)憲法を頂点とした階層構造で成り立っている。

(プ)リリースしたシステムのコードに恥ずかしい記述やバグをみつけた場合でも、なにか問題が起きるまでは基本的に直す機会がない。いろんな承認をもらわないと修正版をリリースできない。
(法)施行した法律の中に矛盾をみつけた場合でも、なにか問題が起きるまでは基本的に直す機会がない。国会を通さないと、修正版を施行できない。めんどいからいいや、となる。

(プ)そんなときのために、パラメータを外部(DBや定義ファイル)に切り分けておいて、そのデータを変えることで動きが変わるようにしといたりする。やばいときは、コードいじってませんよ、データ変えただけですよ、ということで済むので便利。
(法)そんなときのために、具体的な手続きや概念を法律じゃない規則(施行規則とか省令とか審査基準とか)に切り分けておいて、その規則を変えることで解釈が変わるようにしといたりする。やばいときは、法律いじってませんよ、省令変えただけですよ、というということで済むので便利。

(プ)動いているコードがいつも正しい。
(法)施行中の法律がいつも正しい。

(プ)バージョンアップや修正を繰り返すうちにデッドコードが生まれる、定義や関数が重複する、トリッキーなグローバル変数が登場する、全体像を把握している人が限られてくる(その人はその狭い世界では重宝される)。
(法)法改正を繰り返すうちにデッドコードが生まれる、定義や趣旨が重複する、トリッキーな条文参照が登場する、全体像を把握している人が限られてくる(その人はその狭い世界では重宝される。弁護士、弁理士)。

(プ)複数の定義、メソッド(関数)の総体としてクラス(ファイル)が成り立っている。
(法)複数の条文の総体として法律が成り立っている。

(プ)それぞれの関数がそれぞれの関数を参照している。
(法)それぞれの条文がそれぞれの条文を参照している。

(プ)あるプログラムから、他のプログラムの公開されたAPIを参照したりすることもある。
(法)ある法律から、他の法令の汎用的な条文を参照したりすることもある。

(プ)いろんなところで使ってる変数名や関数を後から変えたりすると、影響範囲が予測しづらかったり予期せぬバグがでたりするので、修正は、既存の版をできるだけいじらないようにやる。結果、スパゲッティ状態になる。
(法)いろんなところで参照してる条文や定義を後から変えたりすると、影響範囲が予測しづらかったり予期せぬ矛盾が生じたりするので、改正は、既存の版をできるだけいじらないようにやる。結果、スパゲッティ状態になる。


うんうん、似てる似てる。

*1:情報革命と法をキーワードにしたら、最重要フォローイング人物。
イェール大法科大学院でジュリス・ドクターの学位取得後、ハーバード法科大学院で教授をやっていたバリバリの法律エリート。インターネットが法に与える革命的影響に気付き、情報革命の震源地、スタンフォードシリコンバレー)に活動の場を移した。その後、クリエイティブコモンズを立ち上げたりした、いまたぶん、最もわかってらっしゃる法律家。インターネットや知的財産に関する活動・研究で知られるが、彼の専門は憲法であり、法の基盤について考えることを専門とする人がインターネットと法をそのメインの研究テーマとしていることは興味深い。日本の憲法学者はなにやってんだ?