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特許公報の技術的価値(ソフトウェア特許はなぜプログラマに信用されないか(3))

仕事に慣れてきて処理量が増えるに伴って、最近はなんだか波長がグリグリした通信ものとか電子がウニウニした回路ものとかの伝統的なアナログ電気な感じの案件を担当する機会が増えてきました。

で、さいきんアナログ回路な明細書をかくための技術の下調べをしているときに、(自分的に)衝撃の体験がありました。
技術内容を理解するための資料として、Googleにきいてよくわからなかったことが、特許公報にサーチをかけてみつけた記述を読んですっきりと解決したのです!
衝撃でした。

私、特許公報の技術文献としての役割を舐めていて、これまでにソフトウェアものの案件をやっていて、ネット上にある情報よりも特許公報の方が情報としての価値が高かった、ということは一度もありません。というか、ソフトウェア関連の特許公報って、そもそもなにいってっかわかんなかったり、これかいたヒト本当にわかってかいてんのかなー?と疑いたくなるような記述がけっこうあります。なぜそういうことが起きるのかはこのブログでもちょろちょろとかきながら考えたりしていますけど、伝統的アナログ回路については、特許公報は充分、技術の公開に役立っている!のかもしれません。とりあえず、私はもう特許公報に恩を感じてしまったので、もう手放しでは特許公報の技術的価値をDISれません。

そして、特許公報にみる伝統的アナログ回路の記載が情報として有用なのは、そもそもの私の基礎知識が不足しているからという理由だけではなくて、技術内容を特許公報に落とし込む方法が、成熟しているからなのかもしれません。ソフトウェアに関する公開特許公報の記載がアマアマなのは、単純にまだ歴史が浅いからなのかもしれません。

私は私なりにできるだけ現役のリアルな技術屋に通じる言葉で特許明細書をかくことを心がけているつもりですし、SIでは要件定義、仕様設計から実装までを実際に何度もやってきましたから、実装するとしたらこんな感じになるなーというクラス構造とかテーブル構造とかの設計を具体的に思い描いて、ウン、もうつくれと言われればつくれるな、と思ってからかくようにしてますが、基本的にソフトウェア特許なんてもう不治の病だと思っていて、その先に思い描いているのは、特許実務の論理を身に付けたらFSFとかと手を組んで片っ端からソフトウェア特許を無効審判にかけて片っ端から無効にするというジハードだったりします。そういう、一度全部ぶっ壊して一から特許制度を組み立てなおすというアプローチを思い描いていたのですが、ひょっとしたら、ぶっ壊すのではなくて、特許公報のなかに、技術屋に通じるソフトウェア特許明細書をひとつひとつ増やしていくことで、ソフトウェア特許制度を立て直していく・・・というイイコチャンな感じのアプローチは、思っていたよりもアリなのかもしれません。


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