読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ワタシハチテキザイサンホウチョットデキル

- IP(Intellectual Property), Computer Technology, Ocean Life, Triathlon, and more

180°SOUTHみた。そしてパタゴニア社とシーシェパード

180°SOUTHみた。

180°SOUTHという映画を見たので感想など。

ワンエイティ・サウス 180°SOUTH [DVD]

ワンエイティ・サウス 180°SOUTH [DVD]

40年前、パタゴニア社を創業した青年とノースフェイス社を創業した青年とが、サーフィンをしクライミングをしながら、ビデオカメラを持ってチリのパタゴニアの大自然を旅し、その様子をテープに残した。

後に、カリフォルニアの少年が、ロッククライミングする人をみて月面を歩く宇宙飛行士のようだと衝撃を受けた。サーフィンする人をみて似た衝撃を受けた。どちらも本来はいないはずのところに人がいるものだった。少年は青年になり、サーファーになり、クライマーになり、冒険家になった。40年前のテープをみた彼は、これこそ理想の旅だと、2人の軌跡を辿って旅をする。というドキュメンタリー映画。

旅をするのは冒険家となったジェフ・ジョンソンとそのクルー。クライミングの専門家、サーフィンの専門家等の仲間とともに、ヨットに乗ってカリフォルニアからパタゴニアを目指す。途中、ヨットのマストが折れ、立ち寄ったイースター島では島唯一の女性サーファーと意気投合、クルーに加わる。チリではパタゴニア社創業者のイヴォン、ノースフェイス社創業者のダグと合流。一緒にパタゴニアの人間未踏の自然を旅する。

サーフィン映画と、クライミング映画と、ロードムービーが一緒になった映画。映像もかっこいいし音も気持ち良い。

ただし最後の20分、サーフィン映像、クライミング映像そっちのけで環境保護の話に入りなんだか無駄に説教臭い。なんとなく感じた違和感。

私が漠然と持っていたパタゴニア社の印象

映画中で英雄として描かれるイヴォン・シュイナードが創業したパタゴニア社は、売上よりも自然への敬意を重視することを企業理念として掲げており、沢山の環境保護団体への支援を行っている。売上高の1%以上を環境保護団体に寄付する「1% for the planet」という企業同盟を提唱、多くの賛同を得ている。世界で最もかっこいいサーファー(私見)でありミュージシャンのジャック・ジョンソンもこの同盟に参加している。

またイヴォン・シュイナードは、『社員をサーフィンに行かせよう』というサーフィン好きの労働者には支持必至な本を書いたカリスマ経営者でもある。社員をサーフィンに行かせることの真意は、社員が「ちょっとサーフィンしてくる」といったときに、周りの社員が「いっといで」といえるように、普段から仕事の内容を共有すること、信頼関係を築いておくこと、またサーフィンをすることにより自社製品の使い心地等を自身の体験として感じ続けること、等を挙げている。

社員をサーフィンに行かせよう―パタゴニア創業者の経営論

社員をサーフィンに行かせよう―パタゴニア創業者の経営論

サーフィンの「神様」ジェリーロペスが来日する際に、鎌倉にあるパタゴニア社でサイン会をして、その後に鎌倉でサーフィンをするジェリーロペスが目撃されたという話も聞く。パタゴニア社は「神様」との間でも良い関係を持っていることがわかる。

パタゴニア社は、シャツなどの全てのコットン製品にオーガニックコットンを採用し、衣料品メーカとして初めてペットボトルからフリースを作った会社でもある。

パタゴニア社とシーシェパード

このように、パタゴニア社は賢明な自然大好き派から支持される要素をたくさんもった会社だが、日本人である私が気になるのは、パタゴニア社が支援する環境保護団体の中には、かのシーシェパードが含まれることだ。しかし正直、私はシーシェパードという団体が何者なのかよく知らない。なんとなくニュースで捕鯨船にぶつかってどうのこうのというのをみたことがある程度で、ひょっとしたら愛すべきクレイジーな自然信奉ゆえにああいう行為をしており、腑に落ちるような何らかの思想があるのかも知れない。そういえば湘南の海で、知り合いに日本人のシーシェパードの支援者がいるという話を聞いたことあるような気がするぞ。ちょっと調べてみよう。

調べてみた(ネットで)

まずパタゴニア社がシーシェパードを支持しているということ、これはガチのようだ。日本でシーシェパードの活動がメディアに取り上げられた時に、パタゴニア社が自社サイトでシーシェパード支持を表明する記事を公開している。今ではこの記事は存在しないが、ウェブ魚拓でみることができる

シーシェパードグリーンピースに所属していた某氏が同団体を脱退し、1977年に設立した反捕鯨団体。以下wikipedia(2011/8/16時点)より引用。

同団体は、「環境保護団体」を自称しながら、自らの目的達成のために捕鯨船やその乗員に向けて発砲したり、捕鯨船に爆薬を仕掛けたり抗議船を衝突させて捕鯨船を撃沈させるなど手段を選ばない不法な暴力手段を用いており、メンバーが傷害、威力業務妨害等の容疑で有罪判決を受け、国際手配されたこともある。また、捕鯨船などに対する妨害活動の際に活動が結果的に環境破壊に繋がる行動ばかりである点も指摘されており、その過激な抗議活動には非難の声が挙がることもあるが、反捕鯨・反イルカ漁・反アザラシ猟の世論が強い国のメディアや国民からは賞賛されることもある。

2007年から、その活動がアメリカのテレビ番組「アニマルプラネット」でドラマ仕立てに取り上げられて商業的に成功。シーシェパードの活動が日本でニュースに取り上げられるようになったのもこの頃からだろう。ネットでちょっと前に話題になった、サウスパークのイルカ殺し血の海の回(参照)、あれもシーシェパードのこの番組のパロディらしい。シーシェパードは、持続的な商業的成功を続けるためにより過激なパフォーマンスを求めて暴走しているらしいことが想像できる。
シーシェパードは、人を負傷させるような、生命に関わるような行動はしないことを謳っているが、この記事(参照)等では実際に負傷者が出ていることが分かる。

180°SOUTHという映画

シーシェパードはたぶん、欧米ではちょっと過激だけどやってること自体は正しい環境保護団体として認識されているが、日本側からみるとやはり野蛮なギャングだ。映画の中で、旅の途中で世話になる漁師の息子であるサーファーが、「金のために土地が奪われてしまった。この美しい自然を守るために立ち上がるつもりだ」というシーンがあるのだけど、シーシェパード支持という背景がチラつくとこの「立ち上がる」という決意も暴力を辞さないという意味を帯びてやや空しく響く。

パタゴニア社がシーシェパードを支援することは、欧米では環境保護支援企業としてのブランドを保つために商業的に一定の効果を持つのだろう。ひょっとしたら、この映画自体が、クレイジーな自然大好き映画にみせかけた、環境保護支援企業としてのブランドを保つためのパタゴニア社の宣伝映画なのではないか。

映画内では触れられていないが、この映画の中心人物である冒険家ジェフ・ジョンソンについて調べてみると、パタゴニア社のライターであることがわかる。また、この映画の監督、クリス・マロイはパタゴニア社のライダー。クルーのサーファーであるキース・マロイもパタゴニア社のライダー。クルーのクライマーであるティミー・オニールもパタゴニア社のクライマー。あるクライマーのブログ(参照)によれば、映画中にクルーが身に付けている諸々は「パタゴニアで固めている」ようだ。ふーむ。パタゴニア社、普通にしたたかな商売上手のアウトドアメーカなのかもしれない。

まとめ

・サーフィンのシーンとクライミングのシーンがたくさんあって、音楽も心地よく、海好き山好きは楽しめる。
・が、後半20分くらいはサーフィンもクライミングのシーンもなくやや説教臭いシーンが続く
・ぶっちゃけ見終わったあとなんとなく消化不良な感じになってサーフィン映画の古典「エンドレスサマー」を棚から引っ張り出したのは内緒だ

・「パタゴニア社がシーシェパードを支持している」はガチ
シーシェパードは直接行動を辞さない環境保護団体である
・→パタゴニア社製品を買うために払ったお金の一部は、シーシェパードが直接行動を行うための資金として割り当てられる可能性がある

というわけで、パタゴニア社にとってシーシェパードは援助する沢山の環境保護団体のひとつに過ぎず、日本以外ではこの団体を支援することに一定の商業的価値があるのかも知れないが、日本においては不買の動機として充分な意味を持つ。とりあえず何らかの腑に落ちる理由がみつかるまでは、パタゴニア社製品は不買ってことでいきたいと思います。まあもともとあんまり持ってないんだけど。高くて買えない訳じゃないよ!

参考文献:
映画『180° SOUTH/ワンエイティ・サウス』オフィシャルサイト
パタゴニアとシーシェパードについて-Yahoo!知恵袋
パタゴニアはシーシェパードへの支援をやめよ!-農と島のありんくりん
シーシェパード・スポンサーはLUSHとパタゴニア-酔っ払いのうわごと
パタゴニア(支援者)→シーシェパード(実行犯)→日本の捕鯨船を攻撃
wikipedia パタゴニア(企業)
wikipedia シーシェパード