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2012弁理士試験・口述再現(6日目の商標だけ)

いまさらですが、口述再現(6日目)かいとこっかなと思いました。*ただし商標法に限る。
昨年は私の出番は3日目だったからまだ後の日もあったし、少しでも前日の状況を知りたいと思う次の日の人がいるはずだ、と思ったので、若干の使命感みたいなものもありつつ受験日当日にソッコーで再現つくってブログにアップして、今年もそのつもりだったんですが、今年は日程が最終日で、なんとなく「ソッコーで再現つくってブログにアップする」というモチベーションがなかったんですね。で、試験中は脳フル回転で、なんというか、脳内メモリと脳内HDDに条文や青本等の知識が蠢きまくっている中、試験官がいってることは脳内CPUキャッシュにだけおいて処理していたので処理終わったら全部消えてた、みたいな感じで後からちゃんと思い出せなかったんですね。特許はやたら長い上に色んなところにポンポンとんでたし、意匠もパネルが3つくらい出てきて全部正確に思い出せないし、まあ正直いって終わったときこれは受かったな、と思って、落ちた再現はなかなかでてこないけど、受かった再現てけっこうブログにポンポン上がってくる印象だったから、別にいっか、と思っていたんだけど、6日目の再現をなかなかみかけないので、やっぱり今更だけどかいとこうかな、と思いました。ですが、やっぱり特許と意匠は記憶が曖昧でちゃんと思い出せないので、試験直後の控え室で文字におこした最後の商標だけ。

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最初に軽く雑談。

試験官:「商標法では、侵害についてお聞きします。商標権の侵害とは何ですか?」
私:「ハイ。権原なき第三者が、登録商標と同一または類似の商標を、指定商品または指定役務と同一又は類似の商品または役務について使用をすることです。」
試験官:「それだけですか?」
私:「一定の予備的行為をすることです。」(防護もいうのかな?)
試験官:「はい。それでは、侵害行為に対して商標権者が取り得る民事上の措置はなんですか?」
私:(防護はいいのか)「ハイ、差止請求、損害賠償請求、不当利得返還請求、信用回復措置の請求ができます」
試験官:「損害賠償請求できる、という根拠はなんですか?」
私:「ハイ、25条に、商標権者は、指定商品または指定役務について登録商標の使用をする権利を専有することが規定されており、商標権は独占排他権であり財産権ですから、財産権の侵害に対しては、損害賠償を請求することができます。」
試験官:「う、うん、まあ・・・それが根拠?」
私:(え・・・?)「ハイ」
試験官:「いや、損害賠償請求できる、っていうからには、損害賠償請求できる、っていうことがどこかにあると思うんだけど」
私:(え、だから25条に・・・。なんの話?差止請求できるは36条にビシッと書いてるけど、商標法上、損害賠償の言葉がでてくるのって、損害額の推定規定?・・アレ・・・・?)「条文を参照しても宜しいでしょうか」
試験官:「ん、うん。はい、どうぞ。」
私:(条文に手を伸ばしながら)(ん?なんだ今の反応。みてもいいけど、みても意味ないんじゃないの的な空気・・・?ハッ!そういうことか!!)(条文に伸ばしかけた手を引っ込めて)「失礼しました、民法709条です」
試験官:「そうそう、それですよ。民法709条にはどんなことが書いてありますか?文言どおりじゃなくてもいいんで」
私:「ハイ、故意又は過失により他人の権利を侵害した者は、その侵害による損害を賠償する責を負うことが規定されています。」
試験官:「そうですね。それをなんていいます?民法の?」
私:(え、なんの話?民法の?)「民法には、財産権を侵害された場合に損害賠償を請求できることが規定されています」(かみあってない)
試験官:「うんそれを、民法の、一般・・・?」
私:(え、なんすか。なんの話すか)「民法の、一般・・・規定です」
試験官:「いやその、例外、の反対だから・・・」
私:「民法・・・の・・・一般・・・原則・・・です」
試験官:「そうですね、民法の、一般原則ですね?」
私:(む。この強調。あってたらしい。これがどうしても言わせたいキーワードらしい。なんだそりゃ。まあアピっとこう)「ハイ、民法の、一般原則です!」(どーん!)
試験官:「それでは、・・・は損害賠償請求できますか?」
私:(さっきのなんだったんだという思いが頭の中にグルグルしながら条件反射で)「ハイ、できます」
試験官:「え、通常使用権者は、損害賠償請求できますか?」
私:(あ、やばいやばいちゃんときいてなかった)「いえ、すいません、通常使用権者は、損害賠償請求できません。」
試験官:「絶対できませんか?」
私:「独占的通常使用権者の場合は、できることもあると思います」
試験官:「それでは、差止請求できますか?」
私:「できません」
試験官:「なぜですか?」
私:「36条には、商標権者または専用使用権者は、自己の商標権または専用使用権を侵害するものまたは侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止または予防を請求することができる、と規定されており、通常使用権者は規定されていないからです」
試験官:「その答えで、いいですか?」(ジッと私をみる)
私:(ん。なんだこの揺さぶり。独占的使用権者の場合は代位行使できる場合もあるのいった方が良いのか?でもあれは一解釈だし、いまはさっきみたいに「絶対できませんか?」という聞かれ方はしてないし、判決文の細かいところ突っ込まれて時間くってもアレだし、条文通りの解釈でバツにはできないはずだから、ここは自信を持って、ハイ、だ)「ハイ。いいです。」
試験官:「いいですね?」
私:(またきた。いやこれは揺らがないか確認しにきているパターンだ。条文様は神様だ。自信を持って、ハイ、だ)「ハイ」
試験官:「はい。それではこれで終わりです。」
私:(あ、これで終わりか)「ありがとうございました」

以下、和やかな感じで軽く雑談。