It's Not About the IP

- IP(Intellectual Property), Computer Technology, Ocean Life, Triathlon, and more

テイラー・スウィフト「The Man」和訳。あるいはアメリカのフェミニズムと映画「バービー」について

まだまだツアーが続くテイラー・スウィフト旋風、鳴り止まないですね。昨年の夏ですが、私もサンフランシスコ・ベイエリアのリーバイ・スタジアムでいってきました Eras Tour。かっこよかった。 カリフォルニアの Swifties が目をキラキラさせながら楽しそう…

2024アカデミー作品賞候補ぜんぶみた

来週の2024アカデミー賞の前に、作品賞の10候補を全部みたのでザザッと感想など。ネタバレを含みます。ぜんぶ英語でみたので内容を勘違いしている可能性あり。 順番は独断と偏見による面白かった順です。 1. Barbie 人形のバービーが現実世界にやってくるこ…

アメリカ知財法の歴史とかをざっくり

調べてみたことをまとめておきます(自分用のメモとして、ソフトウェア周り寄りで)。 黎明期 ・1620年、ピルグリム・ファーザーズがアメリカ到着 // ・1623年、イギリスにできた独占禁止法的なもののなかに、独占禁止の例外として特許を規定。これが特許制度…

サブ3達成&カリフォルニアで出たレース

週末に走った Revel Big Bear というレースのフルマラソンでサブ3を達成したので記録として。アメリカに来てから1年半で出たレースたちのURLを後半に羅列しておきます。 スペック 2018年はなももの3:07がこれまでのPR。当時のレポートはこちら。自己ベストの…

ソフビ特許問題について思ったことを、知財村から

ソフビ特許問題というのが起きていて、ちょっと調べてみたらとても興味深かったので調べた範囲で思ったことを書いておきます。 ちなみに私は特許の世界でご飯を食べているものの、特許というのは分野で専門が分かれていて(電気/機械/化学とか)、私はソフト…

知財業界人がカリフォルニアで運転免許を取る方法

知財業界人というのは基本的に新しい物好きのミーハーです。特許も著作権も商標も、その保護対象は要するにありきたりでない何らかのユニークさなのであって、そういった「ありきたりでなさ」を面白がるのが知財業界人の特性だからです。 そしてその「ありき…

Sunset Jesus / Avicii (和訳と解釈)

20代にして世界中のパリピの王として若者を熱狂させ、若くして亡くなった天才DJ、Avicii(アヴィーチー)。 en.wikipedia.org 私も憧れのカリフォルニアに暮らし始めたのですが、カリフォルニアを歌ったAviciiの"Sunset Jesus" がなんだか自分の境遇とも重な…

サンフランシスコマラソン2022完走記

サンフランシスコマラソン2022を走ってきたので、記録として。 www.thesfmarathon.com ソフトウェア業界で働き始めた20年前からカリフォルニア・ベイエリアで働くのは夢というか現実味のない憧れだったんですけど、いろいろタイミングが重なって、幸運にもこ…

UTMF2022完走記

4/22~4/24に行われたUTMF2022を完走したので記録など。 コース こんな感じ ランニングスペック 初フルは10年くらい前で、PBはコロナ以前の3年ほど前に出したのが3:07くらい。チャレンジ富士五湖100km完走経験あり。トライアスロンアイアンマン完走経験あり…

六甲縦走トレイルラン2022完走記

神奈川・茅ヶ崎から弾丸遠征して「第11回六甲縦走トレイルラン2022」に参加してきました。とっても良いイベントでした、楽しかったです。ありがとうございました! www.actrep-sports.com というわけで忘れないうちに記録として。 レース概要 須磨浦公園から…

チガフジ100マイル完走記

コロナ禍でマラソンやトレイルのレースは軒並み中止だし、やるのかな~どうなのかな~とヤキモキするより自分たちでやっちゃえばよくね?ってことで、茅ヶ崎海抜ゼロメートルから富士山山頂までの往復100マイルを走って行って帰ってきたので記録など。40時間…

「山と高原地図/箱根」を握りしめて箱根を走り尽くす #RoadToUTMF2022

実際に行こうと決めて「山と高原地図」をゲットしてまじまじと眺めながらアレコレ考えるのって、バックパッカーやってた頃に「地球の歩き方」を読み込んでたワクワク感を思い出しますね。 3年前にトレランを始めたときに買った丹沢は、わりといろんなところ…

箱根外輪山トレイルを1周してきた

1年後のUTMF2022に向けて準備を始めようと思い、そのキックオフ的なつもりで箱根外輪山を1周してきたので記録など。 箱根は大昔は全体として富士山のような巨大な火山だったといわれていて、噴火しまくって空洞化したところに山頂が陥没してカルデラを形成…

弁理士試験に論文合格したときのリアル答案構成を晒す

部屋の片付けをしていたら、弁理士の論文試験に合格した年(平成23年度)の問題冊子がでてきたので晒しておきます。10年くらい前のものなので参考になるのかわかりませんが、本番試験中の息遣いみたいなものは感じられるのではないかと。 特許・実用新案…

OSSライセンスの"distribute"を「頒布」と訳すのは誤訳

前回のエントリでは、OSSライセンスでいう"distribute"を、日本の著作権法で手垢のついた「頒布」で訳すと誤解や混乱を生むので「配布」の方がベター、と述べた上で、実際に混乱している様子を辿ってみました。 著作権法の解釈的なところをもうちょっと突っ…

OSSライセンスにおける"distribute"は「配布」か「頒布」か

結論からいうと「配布」がベターだと思う OSSライセンスにおけるdistributionの日本語訳に「配布」と「頒布」があって、私は「配布」がベターだと思っている。日本の著作権法上では、頒布というと映画の著作物についての頒布(譲渡+貸与)の意味をもってしま…

「秘密特許」についておさらい

「秘密特許」制度導入についての報道があり、自民党の甘利議員が追認するtweetをしました。報道によると来年の法改正を目指すらしいので、これが本当ならもう「検討に入った」っていう段階ではなく案文できてるんじゃないですかね。 特許は原則公開制度を取…

考察・相鉄線100周年乗り入れ記念動画

横浜の相鉄線と他線との乗り入れが始まって4ヶ月経ち、タモリ倶楽部で取り上げられたりしていましたが、いまさらですが乗り入れ開始の時につくられた記念動画をみました。 二階堂ふみが黒ギャル!曲はくるり×サカナクションのマッシュアップ 大正から令和4…

「100日後に特許査定を得る弁理士」1~5日目

このエントリは、パテントサロン企画「知財系ライトニングトーク #8 拡張オンライン版」への参加エントリです。 在宅勤務で ヒマなので 若干時間の融通が利くので、なんとなく思い付いてツイッターで始めたネタをまとめました。元ネタはもちろんワニです。1…

Mendeleyで使える東大ローレビューのCSLをかいた

大学院で論文を書くのに文献管理ソフトのMendeleyを使ってるんですが、東大ローレビューに沿った引用書出しのフォーマットがなかったのでつくりました。引用フォーマットのCSLはGitHubでOSS管理されていたので、プルリクしてマスターにマージされました。各…

OSSライセンスを紐解く:GPLと2020民法大改正

120年ぶりの民法大改正 2020年4月、120年の時を超えてついに民法が大改正されます。 2006年に法務省が改正を打ち出す →2014年に最終案を発表 →2017年に国会で可決 →今年いよいよ施行 という平成令和を股にかけたビッグプロジェクトです。 ここに、「定型約款…

Apache License v2.0の特許条項を解説するよ

Apache License2.0の特許条項があんまり正確に理解されていない気がするので書いておきます。 Inspired by : でかい企業のOSSがApache License 2.0だと嬉しい理由 - 西尾泰和のはてなダイアリー 図解:Apache License2.0の特許条項 | オープンソース・ライセ…

『JOKER』感想 / 物語なんていつだって恣意的に点と点をつなげたものでしかない 

映画『ジョーカー』特報【HD】2019年10月4日(金)公開 観た。面白かった。 とりあえず、この映画は「母親思いの真面目な青年が思いがけない悲惨な出来事を体験して悪人に変わる話」ではなくて、「格差社会の底辺で気が狂いながらギリギリ生きてる中年に不幸…

ソフトウェア特許から法哲学を経由して遡るトロッコ問題

ソフトウェア特許から遡って法哲学の森をさまよっていたら、哲学界隈で有名なトロッコ問題というのに出会いました。なるほどこれはソフトウェア特許が如何にあるべきかを法哲学的に考えるための訓練としても興味深そうです。 トロッコ問題 政治哲学者のマイ…

ソフトウェア特許から遡る法哲学/自然法論vs法実証主義

ソフトウェア特許っていったい何得やねんというところから遡って法哲学の森で迷子になっているわけですが、なんだかよくみる自然法論と法実証主義の対立軸というのがどういうことなのかなんとなくわかってきたような気がするのでメモ。 まず、自然法論とか法…

人はなぜ創作するのか

(以下では、主に著作権や特許などの創作に絞った知的財産(権)をIPということにします) IPとはいったい誰得で何得なのかを考えるにあたって法哲学まで遡って本や論文を読んだりしてますます思考が拡散している昨今でして、気が付いたら結局のところ人はな…

Javasparrow騒動で学ぶ商標登録制度

info-blog.javasparrow.tokyo Javasparrow社の商標にオラクルが待ったをかけているのが話題になっていて、例によってブクマカ(死語)界隈では「知財権ふりかざすやつはevil」みたいなことがいわれているようです。が、単に商標登録制度というものが知られて…

一橋大学キャンパスツアー的な

前2回にわたってお送りしました「インターネット時代の知財を再定義する試みβ」のスピンオフとして、これを調べたり考えたりするのに一橋大学の図書館に籠ったときに撮った写真をいくつか挙げておきます。 インターネット時代の知財を再定義する試みβ(2)…

インターネット時代の知財を再定義する試みβ(2)

(承前) ysmatsud.hatenablog.com そんなわけで論文掘りをしているんですけど、いやあすごいですわ。まあまあ知財のこと知ってるつもりになっていましたけど、アカデミアの門の向こうに知らない世界が広がっていました。実務や弁理士試験には出てこない知財…

インターネット時代の知財を再定義する試みβ(1)

ソフトウェアエンジニアをやっていた15年前、プロプライタリなソフトウェアを尻目に先端いきまくってるOSSがカッコよく見えて、インターネット/ソフトウェアに関する知財制度は考え直されるべきだ、と思ったのがもともと知財に興味をもったきっかけでした。 …