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特許明細書かきの噂と現実

プログラマから特許明細書かきに転職して、そろそろ一年が経ちます。
一年前、転職しよっかなーと思って情報収集したときに、
ネット上にはあまり欲しかった情報がなかったので、
こういうこと知りたかった、ということを公開。
ちなみに、なんだかんだけっこうみんな特権意識をもっちゃってることが、
ネット上にあまり情報がない理由のようです。
特権性を保つために内情を隠すという暗黙のルール的なものが
あるような気がします。
開放されるべきだと思うんですよね、そういうの。


1. ノルマなど
 平均的に2日、3日くらいで1件の明細書を書き上げることが
ノルマとして求められます。分野によっても案件によっても違いますが、
1件は40×50の原稿に10枚くらい。
内訳は、発明理解と、請求項、従来技術、課題、効果、図面までかいて1日。
ここまでで3〜5枚。で、次1日でばーっと実施形態をかく。それで2日。
打ち合わせのための時間は別にとる計算です。2H〜半日くらいか。


私はまだキツキツで、一月あたり残業100時間くらいいってる有様です。
残業代満額はでません、当然。
2年〜3年くらいたつとフツウのテンションでまわせるように
なるようです。


 一年目の人間にいきなりここまで要求してくる事務所はそんなにないようですが、
慣れたらどこもこんなもんなんでしょう。


2. 待遇など
 私は前職では一応大きな会社にいたんですが、
やっぱり大きな会社はなんだかんだいって福利厚生とかルールとか
人事部の手際の良さとか洗練されてたんだなあ、と感じます。
 今は、「それありえなくね?」的なルールがけっこうまかり通ってます。
残業代なしとか。ノルマいってても残業超過しまくってても代休とれないとか。
有給とっても夏期休暇あっても月あたりのノルマは変わらないとか。
 給料は、たぶん少なくはない、というか、ネット上でよく特許技術者は
薄給、薄給、FUCK YOU、みたいな話をみますが、ようするに仕事量と相関する
ということだと思います。私のいる事務所はイケイケで、いきなり↑ああいう
ノルマが課されるので、泣いちゃうほど忙しいですがそれなりの給料です。
大きな事務所は多分こういう傾向なんだと思います。


3. 人間など
 変わり者が多い、というのはまあ当たってるんでしょうか。
会社にいたけど馴染めなかったとか、開発の戦線から外されたからとか、
クビになったとか、ネガティブな理由で入ってきてる人がぶっちゃけ
ほとんどですね、実際。夢と希望いっぱいでやってる人は(まだ)少ない印象を受けます。
ただ、ある意味単純に「夢とか希望とかどうでもいい。だって技術すきなんだもん」
という一種のポジティブさはけっこうあるような気がします。
そういう意味じゃあ、たまに、うっとりするほど頭のキレる人もいます。
 高学歴が多い、というのは当たってます。
そもそもアカデミックめな仕事ですから当然ちゃあ当然なのかも知れませんが、
高卒とか専門学校卒とかはまずいないし、つうか国立大学院卒、みたいのが
ほとんどです。まれに高専卒とか私立文系とかいますが、そういう場合は
かなりのプレッシャーを背負うことになるのは間違いないようです。


4. 技術内容など
 扱ってる技術内容の「フツウさ」には、かなりがっかりしました。
私はこれまでに50件くらいの案件を担当しましたが、ソフトウェアに関して、
自分では思いもつかなかったようなブレイクスルーのある案件が入ってきたことは、
はっきりいって、ない。まあでも落ち着いて考えれば、技術がそうやって
日進月歩で進化していくのは当たり前の話で、進歩性とは大きなジャンプアップでは
なくて、むしろ周知技術のさきっちょの壁を親指でちょっとずつちょっとずつ
押して広げていく(または、押し広げられていることを確認する?)イメージなんですね。
それが国家という権力によって権利化されるのが良いのか悪いのか、
というのは、また別の話。


とりあえずこんなとこでしょうか、
また時間ができたら書き足します。