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文系に特許技術者が務まる理由

「目クソ鼻クソのカテゴライズ、耳クソの価値もない」とライムしたのはライムスターですが、全てのカテゴライズにファックといって全ての偏見から解放されるというのが私の信条ですから、文系とか理系とかいう人間の分け方も当然ファックだと思っています。でも、私は法学部をでているので人から文系といわれることが多く、フーン、俺、文系かーと他人事程度に思っているのですが、特許明細書かきには事実として「文系」の人が少ない。まして無資格*1文系で明細書かきやってるというモノズキは現段階ではほぼ皆無で、特許明細書というのは理系がかくものということになっているらしく、それなりのプレッシャーはあるのですが、私も転職して一年半くらいたった今では人並みのノルマをこなせています。そこで、別に文系だってやっていけますよ、という建設的な理由を挙げてみようと思います。

1.やっぱり、ネット。

これは最大にして絶対不可欠の要因ですね、はっきりいってこれがなかったら絶対にやっていけない自信があります。ベテランの人に話をきくと昔は知らない技術は本で調べてたみたいですけど(当たり前)、今では、高いネットリテラシーがあれば、実は全然知らなかった技術分野でも3時間くらい本気で調べればだいたいのことはわかる。未だにちょっとウェブで探してわからないと本屋いってる人もいますが、その辺の本屋に売ってる本に書いてあることなんて、ウェブのどっかに絶対書いてあるはずですし、発明ってのは特定の分野のさらに突出した一部分ですから、その周りのとこの知識だけ補充する、という使い方にはウェブはもってこいなんですよ。 
こんな本もありますね↓。私はこの本を読んでいませんが、ウェブを駆使すれば3時間で(かっこつきの)「専門家」になれるというのは実体験としてそうだと思いますね。

3時間で「専門家」になる私の方法

3時間で「専門家」になる私の方法

2.理系の人も、意外と分かってないよ

例えば通信ものとか暗号ものとかだと、なんかにょろにょろした図*2とか数式*3とかがいっぱい載っててビビってしまいますが、理系の明細書かきの人たちもああいうのの意味って意外とわかってないもんなんですね。というか発明者がだしてきたよくわからん数式なんてそのままのせときゃOKなんですよ、まあ明らかに違うなーというのは指摘してあげないとアレですけど、だいたいその分野の最先端の研究者様がもってきた数式があってるか間違ってるかなんてわかるわけねーじゃんよ。回路なんてオームの法則だけわかってりゃなんとかなるし、微分とか積分とかも式とけなくてもなんとなくの意味だけわかってりゃなんとかなる。ようするによくわからん式はブラックボックスでOK、数式なんてただの記号なんですよ。

3.「一緒に発明を膨らます」は必ずしも善じゃない

この辺のスタンスは私としてはまだ固定できてませんが、特許事務所の本分は出願の代理なんですね。打ち合わせで発明を聞きながら発明を膨らますということをすると、特許理論上はその代理人も発明者になってしまうからなんだか面倒なことになりますし、いろんな会社のいろんな案件を担当しますから、どっかで仕入れた知識がどっかでポロっとでてしまう、ということが有り得るわけです。だから、発明者が言ってることをそのまましっかり書いとけば良い。ということになれば求められるのはもう技術うんぬんよりも、発明者がなにを言いたいのかという要旨をキレイに掴んでキレイにまとめる能力ですから、これは理系も文系もクソもないですね。あと、私はソフト開発屋だったのでソフトのハナシだと発明とはあんまり関係ない細かいところが色々気になっちゃったりするのですが、細かいことは実はよくわからん回路とかにょろにょろの図や式がでてくる通信ものとかの方がスムーズに書けたりすることはけっこうあります。

4.文章の勝負

これはかなり決定的な理由なのにみんな気付いてるのか微妙なんだけど、特許明細書かきなんて文章かく商売なんだから文系の仕事じゃんかよ。

まとめ

私の場合、はっきり言ってソフトウェア、情報処理の分野に関してはそんじょそこらのなんとなく情報学科でましたみたいな理系くんよりは理論も実践も知っているつもりなので、そういう分野をもってることが自信になってる部分はありますけど、とにかく、文系だからとか新卒だからとかいってビビらずに興味ある人はガンガン特許業界に入っちゃって欲しいと思いますね。意外となんとかなるもんですよ。

*1:特許業界では、単純に無資格といったときは弁理士資格がないことを指す

*2:

なんかにょろにょろした図。ただの記号と思えば怖くない。

*3:

なんかにょろにょろした数式。ただの記号なんだから怖くない。