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独立特許要件(特許法第126条第5項)について考えてみた

ので、メモ。

特許法第126条第5項
第一項ただし書第一号又は第二号に掲げる事項を目的とする訂正は、訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものでなければならない。

なんでこんな規定があんのかというのがこっそり腑に落ちてなくて、ちょっと実務的な機会があったのでいい機会だと思って考えてみた。特許されてる発明が「特許を受けることができるものでなければならない」なんてそんなもん当たり前じゃねーか、なんでいちいちそんな規定があんのですか、大体「独立して」ってなんだよ、「訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明」が何から独立してるってことをいってんの?というのが腑に落ちてなかった理由なんですけど、ジーッと考えて、ちょっと腑に落ちました。

いろいろ事務所の弁理士たちに、「そんなの当たり前じゃないっすか?」と聞きまくったんですけど、そうだね、といってくれる弁理士はいなくて、なんか補正却下との関連でうんぬん・・・とかいう解説が始まったりしてどーもグッとくる解説をしてくれる人がいなかったんですけど、視界が開くきっかけをつくってくれたのは青本。いやーやっぱり青本は読むべきなんですね。

『工業所有権法(産業財産権法)逐条解説』(青本)p.347(126条の解説)
五項は特許請求の範囲を減縮した(一項一号)後の発明又は誤記もしくは誤訳の訂正をした(一項二号)後の発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものでなければならない旨を規定したものであるが、当然のことである。

うんうん、そうだよね、当然のことだよね。それをいって欲しかった。で、じゃあなんでそんな規定があんのかは青本は教えてくれなかったんですけど、まあ確認的に規定したと考えるのが自然ですね。とか考えていたら、要するに、訂正審判というのは訂正の可否について争う審判なわけで、特許の可否について争うもんじゃないんだから、改めて先行文献のサーチかけることはしないよ、と考えることもできちゃうから、そういうわけじゃなくて、やっぱり請求項いじられたら訂正の可否だけじゃなくて改めてサーチかけて特許性の可否も検討しますよ訂正審判といえども。という、そういう意味なんだと思う。

と考えると、訂正請求のとこでは

特許法第134条の2第5項
第百二十六条第三項から第六項まで、第百二十七条、第百二十八条、第百三十一条第一項及び第三項、第百三十一条の二第一項並びに第百三十二条第三項及び第四項の規定は、第一項の場合に準用する。この場合において、第百二十六条第五項中「第一項ただし書第一号又は第二号」とあるのは、「特許無効審判の請求がされていない請求項に係る第一項ただし書第一号又は第二号」と読み替えるものとする。

となっていて、「特許無効審判の請求がされている請求項」については独立特許要件の検討対象から外されている。これはつまり「特許無効審判の請求がされている請求項」は無効審判の対象となっているんだから特許性の可否の判定対象に既になってるからあえて改めて確認規定おく必要はないじゃんってことで、それ以外の請求項に訂正したらそっちの請求項もサーチかけなおしますよということで筋が通る。

とかなんとかそんなことを考えました。

ちなみに、「何から独立っていってんの?」については腑に落ちてないんですが、めんどくさくなってきたのでとりあえず気にしないことにしました。