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ランニング本の感想など

5年くらい前に初めてフルマラソン走ってから、なんとなくノリと勢いで走ってますけど、ここにきてなんだか走るの面白くてしょうがねえなって思うようになってきました。というわけで、ランニング本たちの感想などを、記録として。
 
メキシコの秘境で走り続ける民族・ララムリ(タラウマラ族)を命懸けで追ったドキュメンタリー。現在のイカれたランナーは大体読んでるマスターピース人間の体はそもそも走るようにできており、走ることは人間の根源的な欲求であり喜びである、ということを異常な説得力で感じることができます。
BORN TO RUN 走るために生まれた~ウルトラランナーVS人類最強の”走る民族”

BORN TO RUN 走るために生まれた~ウルトラランナーVS人類最強の”走る民族”

 
 
  • 『走ることについて語るときに僕の語ること』村上春樹
日本で最も売れている小説家、みんな大好き村上春樹はけっこうハードなマラソンランナーなわけですが、そんな村上春樹が走ることについて語るエッセイ。わりと人格者として語られることの多い村上春樹ですが、フルマラソンを走ってると30kくらいから周りの全てのことに腹が立ってくる、みたいなことを書いていて、あーわかるわかるwと思いました。
走ることについて語るときに僕の語ること (文春文庫)

走ることについて語るときに僕の語ること (文春文庫)

 

 

  • アルプスを越えろ! 激走100マイル』鏑木毅
いやー、こないだのUTMF、すごかったですね。まさかのララムリ登場、そして棄権。事前の噂では今年はコースがちょっと緩めと囁かれておきながら、雨により一転して泥濘地獄、そもそもがそうとう脚に自信のある人しかエントリしてないはずなところの完走率40%、しかし大きな事故なし。国内最高峰レースとしての威厳と格が増したというところでしょうか。そんなUTMFの実行委員長であり、日本トレイルラン界で若干宗教的なほどの崇拝を受けている「鏑木さん」の自伝。恵まれた資質があるわけでも天才でもないが、まさに走れるときは走り、走れないときは歩き、歩けないときは這ってでも前に進むというロングランニングのような挫折と努力と前進の半生、UTMBを走った後に「日本でも100マイルレースを」とUTMFの開催に奔走するアツいドラマを垣間見ることができます。
アルプスを越えろ!  激走100マイル―― 世界一過酷なトレイルラン

アルプスを越えろ! 激走100マイル―― 世界一過酷なトレイルラン

 

 

  • 『マラソンランナー』後藤正治
ノンフィクション作家・後藤正治による日本マラソンランナー列伝。1912年のストックホルムで日本人として初めてオリンピックに出場した日本人2人のうちの1人、金栗四三から始まり、孫基禎田中茂樹、君原健二瀬古利彦谷口浩美有森裕子高橋尚子までの各時代を象徴するマラソンランナーたちの栄光。そして全編通して影の主役のように語られる、1964年の東京オリンピックで日本のために走り、若くして自害した、三島由紀夫の小説のような円谷幸吉の悲運。日本マラソン界の歴史に重みと尊敬を感じます。
マラソンランナー (文春新書)

マラソンランナー (文春新書)

 

 

  • 『EAT & RUN』スコット・ジュレク
完全菜食主義者(ヴィーガン)にして、ウエスタンステイツ(160kmトレイル)7連覇、スパルタスロン(246km)3連覇、バッドウォーターウルトラマラソン(217km)2連覇などの偉業を成し、生きる伝説となった偉大なカリスマランナー、スコット・ジュレクの自伝エッセイ。ヴィーガン料理のレシピなんかもちょこちょこ入っていて美味しそうです。なんというか、サーフィンにおけるジェリーロペスのような、ダイビングにおけるジャックマイヨールのような 、聖人がかったような仙人がかったようなオーラを感じます。そういえばトライアスロン初期の1980年代にアイアンマンレースを6連覇したデイブ・スコットもヴィーガンだったらしいですね。影響されそうな予感…
EAT&RUN

EAT&RUN

 

 

なんだかやたらと筋肉をみせつける半裸写真を披露していて、アメリカの女性誌で「スポーツ界で最もセクシーな男性」の1人として選ばれたりしているらしいスーパースター。サーフィンもやるみたいですね。フルマラソン42.195kmの距離を超えるウルトラマラソンと呼ばれるジャンルのレースを徹夜で走り続ける変態ランナーの狂った告白に若干ひきながらも、徹夜で走るのも悪くないかも・・・と思ってしまいます。
ちなみに、『BORN TO RUN』では、スコットジュレクが英雄として語られていることに対し、ディーンカーナゼスはコマーシャリズムに魂を売ったセルアウト野郎として、なんかそんなに恨みでもあんのって感じに語られます。
ウルトラマラソン マン

ウルトラマラソン マン

 

 

  • 『Run or Die』 キリアン・ジョルネ 
比較的年齢を重ねた人が活躍するトレラン界において、世界最高峰レースであるUTMBに若干21歳で優勝して二連覇したスペインの新星。山岳スキーやマウンテンバイクの選手としても活動するガチの山ヤ。この人はfacebookでわりと頻繁に情報発信していて、雪山の尾根を走ったりするGoProの映像とかをバンバン流してくるんですが、やばいですね。みてるだけでヒヤヒヤします。

https://www.facebook.com/kilianjornet

Run or Die

Run or Die

 

(日本語版はRUNNETからのみ) 

runnet.jp

 

  • 『非常識マラソンメソッド ヘビースモーカーの元キャバ嬢がたった9カ月で3時間13分!』岩本能史
皇居ランの爆発的ブームの火付け役の一端を担ったといわれる、一般市民ランナーのバイブル。私もランニング始めて最初に読んだのがこれでした。
「体幹ランニング」を提唱する金哲彦の教則本。わりとかっちり、「ランニングとは、フォームとはこうあるべき」みたいなことをいう人です。
金哲彦のランニング・メソッド

金哲彦のランニング・メソッド

 

 

  • 『マラソンは毎日走っても完走できない 「ゆっくり」「速く」「長く」で目指す42.195キロ』小出義雄
有森裕子高橋尚子などを五輪メダリストに導いた小出監督教則本。「ランニングこうあるべき」という感じではなく、走り方は人それぞれだし、気持ち良く走っていれば自然と走り方は身についてくる、みたいなことをいう人。私も走り方についてあれこれ悩みだしたときがあったんですが、この本を読んで救われました。これ読んで以来、あんまり熱心にランニングメソッドの勉強とかはしなくなりましたね。

 

  • 『すべてのマラソンランナーに伝えたいこと』瀬古利彦

世界最強と謳われながらオリンピック恵まれなかった無冠の帝王としてマラソン史名を残す世界のセコのマラソン哲学。半端ないストイックっぷりで、普通の市民ランナはあんまり参考ならないスーパーエリート伝説がてんこもり

 伝説1. 高校時代に800mと1500mとの2種目で二年連続インターハイ優勝
 伝説2. マラソンシューズは大学生の頃からメーカーに特注品を作ってもらっていたがシューズに対するこだわりはなく、市販のものでレースを走ったこともあるくらいだ
 伝説3. レースが終わるとシューズは人にあげてしまっていた
 伝説4. 初めて走ったマラソンでは30kまでの練習しかしていなかったので2時間26分もかかってしまった
 伝説5. ある程度のレベルまでくると時計がなくてもだいたいのペースはわかるもので、訓練すれば400mを1秒も狂わず走ることができるし、0.5秒ずつ調整して走ることもできる
 伝説6. 40kのタイムトライアルを一度も給水せずに行ったりしていたがたまにはそういう無茶も必要
 伝説7. 気力が抜けてしまうので男女交際も性行為も禁止。脳や神経が疲れるのでヘッドホンで音楽を聴くのもコンピュータゲームも車の運転も自転車も禁止。自転車でいける距離なら走れば良い
 伝説8. レース10日前から食事の量を減らし、レース前は腹が減っていてまさにハングリーな状態。その方が感覚が研ぎ澄まされ、集中力が増す
 伝説9. 心酔する監督、中村清は選手に向かって、「君達はこの土を食べれば世界一になれるといわれたら食べることができるか。私はできる」といって土をじゃりじゃりと食べ始めた
 伝説10. 箱根駅伝でタスキをつないだ後にバタンと倒れる選手がいるが、頑張ったことをアピールしたくてあんなポーズをとっているのかなと疑ってしまう。私はマラソンで勝ち、ゴールした後でも常に4,5kは走れる余力を残していた。倒れるくらいならもっと練習しなさい。
 伝説11. 解説の仕事は楽しい。移動中継車は選手の真正面の位置を走るので、選手に向き合う特等席でマラソンを見られる。しかし、苦労もある。トイレの問題だ。マラソンは2時間程度だから我慢できるが、箱根駅伝は6時間くらいかかる。私は前日の20時以降は水分を控え、万が一の場合に備えて紙おむつをして解説席に座る。
 
ひとつも真似できる気がしませんw
すべてのマラソンランナーに伝えたいこと

すべてのマラソンランナーに伝えたいこと