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箱根外輪山トレイルを1周してきた

1年後のUTMF2022に向けて準備を始めようと思い、そのキックオフ的なつもりで箱根外輪山を1周してきたので記録など。

箱根は大昔は全体として富士山のような巨大な火山だったといわれていて、噴火しまくって空洞化したところに山頂が陥没してカルデラを形成した。この陥没で残った周りの縁の部分を箱根外輪山といい、カルデラ内部にできた芦ノ湖や強羅、大涌谷などの観光地をぐるっと一周囲んでいます。

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wikipediaをよんでこういうことかなと思ってかいてみた図

箱根山 - Wikipedia

ぐるっと囲んでいるということはスタート地点から稜線を辿ってピストン(往復)ではなくワンウェイで元の位置に戻ってこれるということで、箱根湯本駅を発着として1周すると50kmのD+3000で頑張れば1日でやりきれる。そんなわけでちょっと慣れたトレイルランナーの定番コースになっています。

箱根外輪山の稜線ルートは輪とはいいながら三角形のような形で、雰囲気的にも3辺でそれぞれ金時セクション、静岡県境セクション、元箱根セクションといった感じに分かれます。今回は左回りで。

↓strava記録にラクガキしたもの f:id:ysmatsud:20210508082341j:plain f:id:ysmatsud:20210508153118j:plain

左回りルート(金時→元箱根)だと、前半にドスーンと登って後半に向けて下っていく感じ。右回りルート(元箱根→金時)だと、前半はゆるゆると登って小分けにアップダウンを繰り返しながら金時山頂に着いた後は一気に下る感じ。どちらも当然トータルの獲得標高は変わらないが、以下のように元箱根セクションはバリエーションがあるので、終わり時間など気にする必要がある場合は左回りの方があるていど融通が利く。

金時セクション

箱根湯本駅阿弥陀寺~塔ノ峰~明星ケ岳~明神ケ岳~金時山~丸岳~長尾峠あたりまで。この区間金時山を中心に、ワイルドなトレイルだったり、富士山や芦ノ湖の絶景だったりを楽しめるエリア。またこのエリアは外輪トレイルでも温泉の硫黄の匂いがして、リゾート気分を感じながら過ごすことができます。

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外輪山からのぞむ大涌谷

強羅でやっているお祭りからみる大文字焼は、このセクションの明星ケ岳の強羅側の山腹です。ちなみに箱根外輪山の最高峰は金時山(1212m)ですが、箱根最高峰はカルデラ内部の大涌谷のところにある神山(1437m)です。箱根がカルデラ化する以前の25万年前には、箱根山は今の神山の倍程度の2700m程の高さだったらしいですよ。在りし日の巨大な箱根山を心の眼でみながら外輪を進みます。

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金時山に近付くと整備されて開けた感じ

この時期はきれいに芝刈りされて整っていますが、真夏にはボーボーで景色もみえず藪漕ぎすることになり、いうほど高度もないからクッソ暑くていろいろハードルが上がります。

金時山周辺は老若男女のハイカーで渋滞しがちですが、焦らずゆっくり歩きましょう。私も小学校の林間学校かなんかで登ったなあ、そういえば。まさか30年後にこんな風に外輪1周してるなんて思いもしなかった。

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丸岳からの景色

金時山を越えた丸岳のあたりでは、正面に芦ノ湖、左奥に相模湾、右奥に駿河湾という景色がみられます。山深いカルデラ内部の湖とその両脇に海を一望できるダイナミックな絶景は、ここでしかみられないのではないでしょうか。このダイナミックさは写真では伝わらないので、是非いってみてほしいですね。

この辺りが外輪一周の中間地点で、反対側から右回りで出発したんだろうなというトレイルランナーとチョコチョコすれ違います。写真右側の稜線が、これからいく静岡県境セクションです。これを奥までいきます。

静岡県境セクション

長尾峠富士見公園湖尻峠三国山~山伏峠~海ノ平あたりまでの区間の稜線は静岡県と神奈川県の県境になっています。長尾峠あたりからは自動車道がトレイルと並行していて雰囲気がかわり、エンジン音を聞きながら走ることになります。近くで終始ブオンブオンいってるのはあんまり風情の良いものでもありませんが、その分、トレイルが整備されていたりトイレなどの施設があったりヒトケがあって安心感があったりと、文明の恩恵を得ながら進むことができます。湖尻峠までの北側を箱根スカイライン、南側を芦ノ湖スカイラインというようです。

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三国山を越えて山伏峠を越えると、隣に並行する自動車道の終わりの料金所がみえてきます。このあたりでトレイル的にも次のセクションへ。

元箱根セクション

海ノ平から曲がって箱根湯本駅まで戻ってくる区間。トレイルランナーが「箱根外輪山1周」というとき、金時セクションと静岡県境セクションは誰もが同じルートになりますが、この元箱根セクションは人により場合によりルートが異なっているようで、なかにはこの区間は走らずに1周といっている場合もあるようです。どのルートが正しいというわけでもないでしょうが、だいたい以下のようなパターンがありそうです。

ルート1:

関所跡からトレイルに入って屏風山を辿るルート。二子山は山道がなく越えられないので、ここから旧街道を辿る畑宿側か、お玉ケ池、精進池側を回って湯坂路に復帰して、鷹ノ巣山浅間山→湯坂路といく。浅間山鷹巣山、屏風山は5万2000年前の噴火でできたといわれる地質学上のれっきとした外輪山(新期外輪山)なので、「箱根外輪山1周」を名乗るならここを通るのがフルコースなのかなという気もします。ちなみに、地質学上の古期外輪山である塔ノ峰、明星ヶ岳、明神ヶ岳、丸岳、三国山と並ぶのはこのセクションだと大観山、白銀山のようですが、まともな山道もないようですしちょっと外れるのでそこはいかないで良いんじゃないでしょうか。

ルート2:

元箱根から湯坂路入口までは箱根6区のロードを辿り、湯坂路入口からトレイルに復帰して鷹ノ巣山浅間山→湯坂路といくルート。今回私が通ったのはこれ。これがオーソドックスなんじゃないかなという気はします。元箱根から湯坂路入口まではオプション的に脇道的なトレイルをつなぐこともできます。

ルート3:

元箱根から旧街道を畑宿側に抜け、旧東海道や石畳を辿ってロードメインで箱根湯本に戻るルート。

箱根湯本の温泉で汗を流して帰るのが定番です。

その他のメモなど

箱根登山鉄道の始発ホームに注意

小田原駅箱根登山鉄道の乗車ホームといえば奥にある11番線が定番ですが、なぜか朝イチの始発だけ手前の7番線から出発します。始発と2本目だと15分くらいスタート時間が変わるので、できるだけ時間を稼ごうと始発発車前に余裕で着いて11番線に停まってる電車に乗って待ってたら、隣のホームにいた電車が先に出発したときは目が点になりました。気をつけろ!

補給

これまでトライアスロンやトレランで完走に5時間以上かかるようなロングレースでは、腹が減るとやる気がなくなり集中力がなくなる気がするのと、ジェルとかああいうケミカルなものはなんとなく好きじゃないし、そして餓鬼憑き≒ハンガーノックには米粒と梅干が効くという山伏とかそっち方面の日本古来の言い伝えに納得したから、という理由でおにぎりを複数個用意してたんだけど、46時間おにぎり抱えまくってレースするのも効率悪いし、今後レースが再開されるとしてもヒト同士の接触を減らすためにエイドなどのサポートは最小限になるだろうから、省エネ身体につくりかえようと実験してみている。 で、今回はおにぎり無しの固形物なしで、途中で調達はせずに持参した補給だけでやってみた。もっていったのは以下。

玄人の人たちはみんなソフトボトルな気がしますが、いまのところ私は量が入るバックパック派。今回は最終セクションの湯坂路に入った辺りで2Lのみきった。もうちょっと暑くなるともっと必要だろう。筋肉の活動には水が必要で、これまでは水足りないと思ったら飲めば良いやくらいに思っていたんだけど、できるだけ汗をかかないように動き続けるにはどうしたら良いのかを研究しなきゃなと思っているところ。

これを一袋持っていった。食べたのは5粒くらいかな。

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これも一袋もっていった。3つ食べた。

これを2つ持って行って、食べた。

「おにぎりの代わりにせめて」と思ってもっているのがこれ。数年前は1種類か2種類くらいしかなかった気がするけど、最近は味も増えてきたので今回はこれのバナナ1、バニラ1、ストロベリー1で合計3つもっていった。全部のんだ。もっと欲しかった。

おにぎりなしでやってみて、思ったよりいけた。いけたし、そうだと思えば空腹感もなく、なんだか調子良いような気もしたし、集中力も切れなかった。なるほど、ジェルとかそういうのは、荷物が減らせるとか補給時間を短くできるとかの効率以上に、吸収のための胃腸の負荷を省力化できるということなのだな、と今更ながら気付いた。昔の人の知恵も良いですが現代科学の成果も素直に取り入れていくべきですね。

地図

今回は箱根を勉強し直そうと思って、最新版の紙の地図をゲットしてしっかり頭にいれ、握りしめて位置など確認しながら走りました。

UTMFに向けて

UTMFというのは富士山の周りの山を46時間かけて基本寝ないで100マイル(160km)走る変態レースで、他のロングレースでの完走経験などそれなりの参加条件がある上に希望者多数により抽選でハードルが高いところ、私は2020年に参加権を得たもののコロナにより中止、2021年も中止で、2022年に参加権を繰り越せることになっています。ここんところはあんまりレースのためのガチ練はやってなかったんですが、せっかくなので来年は完走を目指してエントリしようかなと。UTMFは160kmのD+7500ということで、だいたい箱根外輪3周くらい。箱根外輪1周を8時間、2周を20時間くらいでいけるようになっておけば、エイド少ないハードモードのUTMFを完走できるんじゃないだろうか。困難だけど不可能ではないかも、という気はしてきました。