だいたいの概要
ホリエモンこと堀江貴文氏が東京高検に出頭した際に着ていたTシャツが、商標権との関係でちょっと話題になっているようです。
Tシャツには、モノポリーでみかける「GO TO JAILおじさん」の下に、
日本長期信用銀行 3100
山一證券 2700
kanebo 800
日興コーディアル証券 189
ヤオハン 128
livedoor 53
とかかれています。それぞれの数値は、過去の粉飾事件における粉飾額(単位は億円)で、一番下のライブドアが額としては一番少ないのに、実際に「GO TO JAIL」したのはライブドアだけであることを皮肉ったデザインになっています。
要するにこんな感じですが、記事のリンクはっておきます。パーマリンクなのかどうか知らないので切れてたらすいません。
「GO TO JAIL」に企業憤慨 堀江Tシャツ「イメージ良くない」 /産経ニュース
「刑務所行け」堀江Tシャツに賛否 ロゴ使われた企業「極めて遺憾」 /J-CASTニュース
堀江氏がTシャツを着てテレビに映ったことは商標権を侵害するか?
この記事をみて、まるで堀江氏の行為に商標的な問題があるように感じた人がいたようです。確かに、ここに記載された企業たちがせっかく頑張ってるのにイヤなこと蒸し返されて残念な気持ちもわかりますが、堀江氏のこの行為が商標法上の侵害になるということはないと思います。
「Perl商標で学ぶ商標制度の基本」で書いたように、
商標制度というのは、商品とかに文字やマーク(商標)を付けて、その商標によって商品を他の商品と区別して買い物できるようにしたら便利だよね(、っていうかできないと困るよね)、ということで、そういう商標の識別力を保護しようとする制度です。
堀江氏はこのTシャツを着ていただけで、Tシャツを売っていたわけではありませんから、これは普通に考えて商標法上の問題にはなりません。
このTシャツを生産し、販売することは商標権を侵害するか?
ただし、このTシャツを販売する場合は、ちょっと話が変わってきます。
ホリエモン収監の日のためのTシャツ
ちょこっと調べてみると、カネボウは指定商品を被服とする商標権「カネボウ」(登録4375261-1)を取得しているようです。だから、被服であるTシャツについて、商標「カネボウ」を使用する場合は、カネボウの商標権を侵害する可能性があります。
ここでは、このTシャツにデザインされた「カネボウ」が商標的使用であるかということがポイントになってきます。例えば、このブログを読んでいるあなたのPCかケータイか何かのディスプレイには、
カネボウ
の文字が表示されていると思いますが、もしカネボウが指定商品「ディスプレイ」についての商標権をとっていたとしても、ここに「カネボウ」と表示されることは商標権の侵害にはなりません。商標的使用じゃないからです。商標的使用というのは要するに、それが本来の権利者のもんだと勘違いしちゃうような態様で商標を使用することです。↑この「カネボウ」の表示をみて、このディスプレイがカネボウ製だと思う人はいないですよね、普通に考えて。で、Tシャツですが、このTシャツをみて、カネボウがつくったと思う人はいないんじゃないですかね。というわけで、商標的使用じゃないので、商標権の侵害とはいえないと思います。