あ、前回もテイラー・スウィフトでブログかいたのか。忘れてた。まあいいか。書きます。
テイラー・スウィフトがトイストーリー5のために書き下ろした曲が昨日発表されて話題になっています。アメリカで暮らしているとマジで一年中なんやら話題をみかけるテイラー・スウィフト、久々の新曲は原点回帰したようなカントリー風。はなればなれになって会えない大切な誰かを思う気持ちにぶっ刺さります。泣いた。
以下に日本語訳の拙訳と、少しの考察を置いておきます。
I Knew It, I Knew You - Taylor Swift
[Verse 1]
夏の日の草の間にかすんでみえる君を思い出していた
パラシュートで自由落下するように冒険したよね
はだしで走りまわる君の足音をおぼえてる
あの頃からずいぶん経ったね
人生はそんな日々を遠くに追いやるけど
でも今夜 また君に会えた
[Chorus]
そして君を大好きだったことをはっきり思い出した
それは何よりも大事なことだった
窓のひかりにあの頃と同じ笑顔の君をみつけた
ねえ ひさしぶりだね
でもわかってたよ ずっと君を思っていた
ずっと知ってた 君のことはなんだって知ってる
[Verse 2]
君のことはなんだって知ってる ムードリングみたいにコロコロ気分が変わることも
君だって私のことはなんでも知ってるはず 兄弟のように喧嘩もした
くねった道を車が去っていくのをみながら
もう二度とあえないかもしれないと思った
でも愛はあんな日々をまた人生に引き寄せるんだね
君はただ「やあ」っていっただけだけど
[Chorus]
君を大好きだったことをはっきり思い出した
それは何よりも大事なことだった
窓のひかりにあの頃と同じ笑顔の君をみつけた
ねえ ひさしぶりだね
でもわかってたよ ずっと君を思っていた
ずっと知ってた 君のことはなんだって知ってる
[Bridge]
さよならをいいながら川のように泣いたのは気のせいだったかもね
いまこうして一緒にいるんだから
[Chorus]
私が君をどんなに好きだったか 君もちゃんと覚えていてくれた
それは何よりも大事なことだった
窓のひかりにあの頃と同じ笑顔の君をみつけた
ねえ ひさしぶりだね
でもわかってたよ ずっと君を思っていた
ずっと知ってた 君のことはなんだって知ってる
以下、原文をGeniusから引用します。
[Verse 1]
I knew you through the daze of the blades of the grass in summer
Parachutes for the free fall of being younger
I memorized the sound of your bare footsteps
Running wild, it's been a long time
Life has ways of leaving those days behind
But seeing you tonight
[Chorus]
I remembered I loved you
Came back when it mattered, I saw you
Standing there in the light of the window wearing that same smile
Man, it's been a while
But I knew it, I knew you
I knew it, I knew you
[Verse 2]
I knew you, all your blues like a mood ring changing colors
You did too, therе were times we could fight like brothers
I watched you drive around the bend for
What I thought would be the last time I saw my friend
But love has ways of bringing things back to life
All you said was, "Hi"
[Chorus]
And I remembered I loved you
Came back when it mattered, I saw you
Standing there in the light of the window wearing that same smile
Man, it's been a while
But I knew it, I knew you (I knew, I knew)
[Post-Chorus]
I knew it, I knew you (I knew, I knew)
I knew it, I knew you (I knew, I knew)
[Bridge]
Oh, the rivers I cried when we said goodbye
Wondering if I'd made it up in my mind
But now you look me in the eye
[Chorus]
And you told me I loved you
Came back when it mattered, I saw you
Standing there in the light of the window wearing that same smile
Yeah, it's been a while, oh-oh
Wearing that same smile
Man, it's been a while (Man, it's been a while)
Wearing that same smile
Man, it's been a while
But I knew it, I knew you (Ooh, I knew you, I knew)
[Post-Chorus]
I knew it, I knew you
Wearing that same smile (Ooh, I knew you, I knew)
I knew it, I knew you (Ooh, I knew you, I knew)
I knew it, I knew you (Ooh, I knew you, I knew)
I knew it
いくつかの考察と解説
曲の発表と同時にテイラー・スウィフト自身が文章を発表していて、それによれば、この曲はトイストーリーのキャラクターであるジェシーのものであること、テイラー・スウィフト自身が5才の頃からトイストーリーのファンであったことが語られています。
Writing this song felt like a musical departure and coming home at the same time. Creating something for Jessie was a new challenge and also felt like second nature all at once. And being a @toystory kid from the age of 5 til now… is an adventure I plan to be on, to infinity and… pic.twitter.com/gewjzSS0qg
— Taylor Swift (@taylorswift13) June 5, 2026
ジェシーといえばトイストーリー2から登場した、主人公でカウボーイのウッディに対をなすカウガール。トラウマを抱えながらも勇敢で奔放なキャラクターで、ディズニーの中でも特に女の子から支持される人気キャラです。テイラー・スウィフトが添えた動画は自身が子供の頃にジェシーのような恰好をしたもの。テイラー・スウィフトはカントリー出身なのでイメージ通り、ここ数年の先進的なキラキラ路線から原点回帰して、古き良きアメリカも歌えるアメリカを代表する歌姫の面目躍如といったところです。
トイストーリーはアニメ映画として子供に楽しいだけでなく、物語の完成度も高く大人の心もしっかりとえぐってくる作品群で、新作も楽しみですね。アメリカでは6/19から、日本では7/3から劇場公開予定です。
トイストーリー2で登場したジェシーは、もともとエミリーという女の子が持っていた人形でしたが、エミリーが成長しておもちゃよりオシャレやパーティに気が向くようになると遊ばれなくなって寄付に出されてしまいます。ジェシーがそれを回想するシーンで流れていたWhen She Loved Meがまた名場面の名曲で、アカデミー賞のベストオリジナルソングにもノミネートされました。はなれてしまったエミリーとの楽しかった日々を思うさみしくも美しい曲です。
"I knew that she loved me"など、今回のテイラー・スウィフトの曲の元ネタといえるラインもあります。テイラーの今回の曲はこのトイストーリー2の名曲に対をなすアンサー、続編ともいえるでしょう。トイストーリー2のWhen She Loved Meは切ない別れの曲、トイストーリー5の本作は27年ぶりの再会の曲というわけです。
この背景を踏まえて、少し翻訳ポイントに注釈します。
[Verse 1]
I knew you through the daze of the blades of the grass in summer
Parachutes for the free fall of being younger
I memorized the sound of your bare footsteps
Running wild, it's been a long time
Life has ways of leaving those days behind
But seeing you tonight
このバースはまあほとんどそのまま単語を日本語訳する直訳で意味が通る気がしますが、ポイントになるのはLife has ways of leaving those days behindという言い回しでしょうか。~have ways of + -ing で、~は-ingするものだ、というような使われ方をします。
・Time has a way of healing wounds.(時間が経てば傷は治るものさ)
・Things have a way of working out.(物事ってのはけっこうなんとかなるもんだ)
[Chorus]
I remembered I loved you
Came back when it mattered, I saw you
Standing there in the light of the window wearing that same smile
Man, it's been a while
But I knew it, I knew you
I knew it, I knew you
I remembered I loved you は直訳すれば「私はあなたを愛していることを思い出した」となるところ、日本語では「愛している」というとロマンティックな好意にきこえがちですが、ここでは友人としてとてもとても「大好きだった」という言い回しの方がしっくりくるでしょう。
そしてこのrememberという単語は知っていたようで私にとってはアメリカにきてからニュアンスの理解に苦労したもののひとつで、ここに使われているようなrememberedという言い方を知ったのはアハモーメントでした。rememberは正確にいうと「覚えている」よりは「思い出す」です。既に脳内メモリにあることは前提で、それを読み出す行為。覚える、はmemorizeとかですね。rememberは既にmemorizeして既に脳内にある情報をフェッチして読み出す。その電話番号を覚えとくよ、とかいうときはI'm memorizing it. とかであって、I remember it.ではないです。そしてこの動詞の時制というのは知識として思っていた以上に重要な役割を果たして文の意味を決定付けます。現在形は習慣的な状態や行為、過去形は過去の一時点での行為、現在進行系は今まさに行っている行為。Do you remember it?(それ覚えてる?) と聞かれた時、I remember it.(現在形;覚えてるよ。脳内メモリから思い出す必要もなく脳内キャッシュに入ってるよ)、I remebered it.(過去形;言われて思い出したよ)、 I'm remembering it. (現在進行系;ちょっとまって、いま思い出してるから。えーとえーと。)では同じ動詞でも時制で意味が異なります。というわけで、ここでI remembered I loved youといってるのは、少しぼんやりしかけていたけど私はあなたを愛していたことを確かに記憶していて、それが意識の表面にはっきりよみがえった、というわけです。
次のmatteredは動詞で、Black lives matterのmatterですね。It matters, それが大事だ、という感じで日常会話でもよく聞きます。
テイラー・スウィフトにManといわれると皮肉たっぷりのThe Manを思い出して身構えますが、ここは特にそういう含意はないと思ってよいでしょう。ただ単におっと、やあ、みたいな感嘆詞としてのManです。ちなみにThe Manもかつて和訳したのでよろしければこちら。
ysmatsud.hatenablog.com
そしてタイトルにしてパンチラインのI knew it, I knew you。エモい。I knew it, I knew you、は直訳すれば「私はそれを知っていた、私はあなたを知っていた」ですが、日常会話でI knew it、というニュアンスは、やっぱりね、実は100%確信していたわけではないけど私にはわかっていたよ、物事はまだそうなっていないが私はそうなると思っていたよ、ほら私が思っていた通りでしょ、といった感じです。テイラーがknewのところで少しおどけたような、それでいて感極まったような弾けた高い声を出すのがまたそんなような愁いを帯びて良いですね。I knew youというのは単に知識や情報として人を知っているのではなく、しっかりとした心を通わすような経験を重ねて性格や人柄などを理解している、というニュアンスです。
そういった、かつては大好きだった人とはなればなれになり、どうしても会いたかったけど会えないままだった、そして時が流れる中で思い出はどうしても薄れかけていくけど、ひとめ会った瞬間にいろんなことを思い出し、大好きだったこと自体が何よりも素晴らしかったという実感が溢れ出した。あの時は本当にすごく仲良しだったし、その関係はかけがえのないものだったと信じているけれど、これだけ長い間はなれていると多少の疑いや迷いを感じた瞬間が全くなかったわけではない。でもこうしてやっとまた会えた今、あの頃と同じように笑って、ほら、思っていた通りでしょ?疑ったことなんかなかったよ?だってあなたのことはなんだってわかってるんだからねッ!?という、そういう複雑な不安と再会の喜びが混じります。
[Verse 2]
I knew you, all your blues like a mood ring changing colors
You did too, therе were times we could fight like brothers
I watched you drive around the bend for
What I thought would be the last time I saw my friend
But love has ways of bringing things back to life
All you said was, "Hi"
mood ringというのは体温などの温度で色の変わるおもちゃですね。
ここのYou did tooは、I knew youの対でYou knew me,ということでしょう。
I watched you drive around the bendというのは上記にYoutubeリンクを貼った、トイストーリー2でWhen She Loved Meが流れるジェシーの回想シーンの最後の2:15くらいからの場面です。エミリーに捨てられ、くねった道を車で去っていくのを呆然とみています。
次のBut love has ways of bringing things back to life(でも愛はあんな日々をまた人生に引き寄せる)は、バース1のLife has ways of leaving those days behind(人生はそんな日々を遠くに追いやる)に対応した伏線回収ですね。そして君がただ"Hi"(やあ)と声をかけてきた一言で堰を切ったように色んな思いが溢れ、またサビへ。
[Bridge]
Oh, the rivers I cried when we said goodbye
Wondering if I'd made it up in my mind
But now you look me in the eye
the rivers I criedというのは川のように泣く→大泣きする、という聞きなれない表現ですが、アメリカのポップカルチャーではcry me a riverとして使われるようです。どちらかというと同情を引くために大げさに泣きわめく→知るかずっと泣いてろ、という皮肉を込めた表現のようですが、ここではそれを逆の立場から使っているわけですね。
https://www.reddit.com/r/EnglishLearning/comments/18v53z2/comment/kfomkle/
Cry Me a River - Wikipedia
というわけで
本曲は既に来年のアカデミー賞のベストオリジナルソングの筆頭候補などともいわれています。アカデミー賞授賞式でこの曲をパフォーマンスするテイラーはみてみたいですね。
Youtubeにはトイストーリー5制作陣のインタビューなどが続々と公開されていて、ディレクターが本作はジェシーを中心として物語が進んでいくことを明かしています。というかこのテイラー・スウィフトの曲ではジェシーがエミリーと再会することが思いっきり示唆されているというかネタバレしてますけどそこは良いんでしょうか。ここまでいっといてジェシーがエミリーと再会できてなかったらそれはそれで逆の意味で泣く。 www.youtube.com
声優陣のインタビューはこちら。ウッディのトム・ハンクスもバズのティム・アレンもすっかりしっかり爺さんだなあ。まあ1作目からだと30年だもんね、そりゃそうだよね。そしてこの右にいるカエルパッドの声のおねえさん、どこかでみたなーと思ったら一昨年のアカデミー賞候補になった韓国のパストライブズのおねえさんですね。予告を見る限りだとちょっと意地悪な感じにみえますが、まあそれだけでは終わらないでしょう、トイストーリーですから。楽しみです。
www.youtube.com




