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2019-01-01から1年間の記事一覧

『JOKER』感想 / 物語なんていつだって恣意的に点と点をつなげたものでしかない 

映画『ジョーカー』特報【HD】2019年10月4日(金)公開 観た。面白かった。 とりあえず、この映画は「母親思いの真面目な青年が思いがけない悲惨な出来事を体験して悪人に変わる話」ではなくて、「格差社会の底辺で気が狂いながらギリギリ生きてる中年に不幸…

ソフトウェア特許から法哲学を経由して遡るトロッコ問題

ソフトウェア特許から遡って法哲学の森をさまよっていたら、哲学界隈で有名なトロッコ問題というのに出会いました。なるほどこれはソフトウェア特許が如何にあるべきかを法哲学的に考えるための訓練としても興味深そうです。 トロッコ問題 政治哲学者のマイ…

ソフトウェア特許から遡る法哲学/自然法論vs法実証主義

ソフトウェア特許っていったい何得やねんというところから遡って法哲学の森で迷子になっているわけですが、なんだかよくみる自然法論と法実証主義の対立軸というのがどういうことなのかなんとなくわかってきたような気がするのでメモ。 まず、自然法論とか法…

人はなぜ創作するのか

(以下では、主に著作権や特許などの創作に絞った知的財産(権)をIPということにします) IPとはいったい誰得で何得なのかを考えるにあたって法哲学まで遡って本や論文を読んだりしてますます思考が拡散している昨今でして、気が付いたら結局のところ人はな…

Javasparrow騒動で学ぶ商標登録制度

info-blog.javasparrow.tokyo Javasparrow社の商標にオラクルが待ったをかけているのが話題になっていて、例によってブクマカ(死語)界隈では「知財権ふりかざすやつはevil」みたいなことがいわれているようです。が、単に商標登録制度というものが知られて…

一橋大学キャンパスツアー的な

前2回にわたってお送りしました「インターネット時代の知財を再定義する試みβ」のスピンオフとして、これを調べたり考えたりするのに一橋大学の図書館に籠ったときに撮った写真をいくつか挙げておきます。 インターネット時代の知財を再定義する試みβ(2)…

インターネット時代の知財を再定義する試みβ(2)

(承前) ysmatsud.hatenablog.com そんなわけで論文掘りをしているんですけど、いやあすごいですわ。まあまあ知財のこと知ってるつもりになっていましたけど、アカデミアの門の向こうに知らない世界が広がっていました。実務や弁理士試験には出てこない知財…

インターネット時代の知財を再定義する試みβ(1)

ソフトウェアエンジニアをやっていた15年前、プロプライタリなソフトウェアを尻目に先端いきまくってるOSSがカッコよく見えて、インターネット/ソフトウェアに関する知財制度は考え直されるべきだ、と思ったのがもともと知財に興味をもったきっかけでした。 …

リバタリアニズム事始め。あるいはソフトウェア特許はリバタリアンの夢をみるか。

特許ってなんなん?(ネガディブな意味で) 発明を公開する代償として独占権を与える?インセンティブを与えないと発明が秘匿されて技術も社会も経済も発展しない? ほんと? 世界で最も使われているOSはLinuxですけど、独占権なんて与えなくても公開されて…

一橋大学大学院に入学しました ~東京で通う知財系大学院まとめ~

この春に一橋大学大学院法学研究科ビジネスロー専攻というところに正規の学生として入学しました。 なんやかんやで知財実務で飯を食うようになってけっこう経ちますが、そもそも知財ってなにそれおいしいの、本当に必要ですかその制度、という疑問が知財に興…

今年の芥川賞は仮想通貨を題材にした『ニムロッド』。読んだ

盛り上がったり盛り下がったりする仮想通貨/ブロックチェーンのテクノロジー。イーサリアムもこないだ50%攻撃を食らったようですし、なんかすごそうだぞといわれながらなかなか実用化する未来はみえてこないですね。 そんなこんなで今年の芥川賞、上田岳弘『…