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「オヨビ」。漢字で書くか?平仮名で書くか?

法律文書では、「又は」と「若しくは」との使い分けに特別ルールがあるのは
知ってる人は知っているし知らない人は知らなくても多分何も困らないが、
知らないと法律に関しては素人なのね、と思われるような、
法律屋にとっては常識の範疇に入ることではあったりする。「及び」、「並びに」もそう。


これはまあざっくりいっちゃえぱ「又は」の方が「若しくは」よりも大きい括りで使う、
というそんだけの話なんですけど、で、ちょっと話がかわって、一般的な文章では、
「オヨビ」、「マタハ」なんかの接続詞は、前後の文脈で決めるというか、前後が漢字なら「および」とし、
前後が平仮名なら「及び」として、視覚的にその切れ目がわかるようにしておくのが
教養であるというのはどっかで習ったような気がする。


で、特許明細書なんですが、これは技術文書なんでしょうか?法律文書なんでしょうか?


というのは、ずっと悩んでてまだどっちつかずのアイウォンチューな態度でいるところで、
この問題は、「ソフトウェア特許はなぜプログラマに信用されないか?」というテーマにも関わっている。


言葉使いというのはそのコミュニティコミュ二ティで異なっていて、
究極的には「二人にしか通じない言葉を持つことこそが、愛ということである」的なことを
寺山さん*1がいっていたような気がするが、とにかく、言葉使い、というのはそれだけで
その人の属するコミュニティの違いがでてくる。


じゃあ、特許明細書は、法律家のことばでかくべきか?
技術者のことばでかくべきか?


特許明細書は特許の権利内容を説明する文書という意味を持っており、
争いになれば法律家によって解釈されるのだから、法律文書に決まってる。


といえばそうなんだけど、特許という制度はその技術内容を国に開示することで
国が当業者に開示し、開示した技術を踏まえてみんな頑張ってさらに技術を進化させてね、
というわけなので、当業者に意味がわからなければ、意味がない。というか、当業者に信用されない。


法律文書なら「オヨビ」は「及び」とかくべきで、「および」とはかくべきでない。
それが法律的教養ってもんなんでしょう。


で、私はとりあえず、「及び」は、法律ルールに習って漢字でかくという方針でいってみよう、
と思ったのは、転職当初あんなに読みにくくてイヤだった、行間あけないでギチギチに
つめてかかれた特許明細書のインデントを、読み易いと感じるようになってきちゃったからです。


これはあれなんでしょうか。
このまま私は、一年前疑いの目でみていたオトナになってしまうんでしょうか。

*1:寺山修司。私にとって絶対ではないがおそらく最強のカリスマ。