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フルマラソン3時間一桁のためにやったこと

備忘録として。
先日の古河はなももマラソン(2018/3/11)で、初めてフルマラソン3時間ヒトケタまでいきました。 ラップタイム晒す。

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スペック

  • 非経験者(元陸上部だったとかではない)
  • 走り始めは2010年、初フルは2011年。タイムは4:40くらい。詳細はコチラ
  • はなもも以前のフルPB→3:24。詳細はコチラ
  • ハーフPB→1:28。詳細はコチラ
  • ウルトラ100km完走経験あり。詳細はコチラ
  • トライアスロンアイアンマン完走経験あり。詳細はコチラ

経緯

なんだかんだあってマラソンとかやってる場合じゃなくて2016年からまともに走ってなかったんですけど、2017年11月にちょっと一念発起して、フルマラソンやるかと。3月のはなもも走るかと。ここんとこ全然走ってなくて月間走行0kmだったけど、これから4ヶ月間、トライアスロンとか関係なくフルマラソンだけに焦点絞って真面目に練習したらどれだけサブスリーに近付けるのか、人体実験やってみるかと。いう結果がこれです。

トレーニングは開け過ぎない、詰め過ぎない

筋肉をしっかり追い込んで、しっかり休む。疲れが取れたとき筋肉は追い込んだ前よりも成長している。これが超回復。筋トレの基本。ランも同じ。
一回、一回を、意味を考えて走る。意味を考えて休む。
筋肉の回復には2-3日かかるといわれている。回復が不十分な状態でまた追い込んだら超回復しないままだし、逆に超回復が終わったままほっとけば衰え始める。トレーニングは、3日開けない。2日は開ける。
エリート選手は毎日走ってるみたいな話があるが、それはエリートの話。市民ランナーにとって毎日走るというのは楽しみや自己満足にはなってもトレーニングにはならない。

練習概要

  • 一ヶ月目 : LSD中心で走れる体を取り戻す
    2h-3hのLSD。スピードは気にしない。遅くて良い。姿勢は気にする。視線は、腰の位置は、傾きは、肩は、胸は、背中は、手の振りは、脚の運びは、着地位置は、接地箇所は、気にする。帰宅ランだと平日でも時間がとりやすい。

  • 二ヶ月目 : ぼちぼちスピ練を混ぜる
    トレミル。アイアンマンの練習してるときに調子の良かった10分で追い込むクイック練。傾斜10%つけて、時速10kmで5分、時速11kmで3分、時速12kmで2分のビルドアップ計10分。これとLSDを併用。

  • 三ヶ月目 : スピ練重視
    ヤッソインターバル。久しぶりにやったら、前やってた時よりも全然タイムが遅くて絶望した。スランプを感じる。スランプ脱出をかけて草レースを走っても、思うようなタイムが出ない。焦る。気分転換と思ってジムでがっつりウェイトトレーニングしたら腰を痛める。焦る。
    この頃、調整を兼ねた勝負レースと定めていた神奈川マラソンのハーフ。腰痛いので、レース前一週間は思い切って休む。何もしない。結果、サブ90。サブスリーペースのキロ4:10で、それなりに余裕残してフィニッシュ。ここで気分的にスランプ脱出。このペースであと半分押し切るのは困難ではあるが不可能でもないような気がした。勝負するしかない。

  • 四ヶ月目 : 仕上がり具合から課題を出して不足してるところを強化
    …と思っていたけど、腰痛いのが治らん。あんまり追い込みすぎると危険。神奈川マラソンで腰痛いのを庇いながら走ったからか、3ヶ月のトレーニングの疲労が貯まってきたか、足首やら膝やらに不穏な痛みを感じ始める。ヤバイなと思ったけど、神奈川マラソンでそれなりに身体は仕上がってるという感触はあったので、練習頻度を下げ、一回の練習をさらに濃いめに。400インターバルとか。

月間走行距離

特にちゃんと測ってないですけど、たぶん100-150kmくらい。頭使って練習すれば、月間100-150kmで3時間ヒトケタだせますよという例。

身体づくり/大豆プロテイン

あえての大豆。パンプアップにはホエイだが、持久力には大豆。トレーニング後30分以内がプロテイン摂取のゴールデンタイム。走るときはプロテインをいれたザックを背負って、走り終わったら公園の水道とかで溶かしてすぐ飲んでました。はっきりいってマズイですが、効果はあった、ような気がする。

大豆プロテイン 1kg 無添加 飲みやすいソイプロテイン

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DNS HANDY SHAKER (ハンディーシェイカー)

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ランとタバコのメカニズム

あんまり大きな声では言えませんが、タバコ吸います。ヘビーじゃないけど。1日0-5本くらいかな。いやーサラリーマンのタバコミュニケーション、バカにできないですよほんと。
エンデュランスにタバコがよくないのはわかります。肺がヤニで覆われると酸素の吸収力が減る。わかる。でもですね、アイアンマンやってたときは準備として1年間全くタバコ吸ってなかったんですけど、その前後でフルマラソンのタイムがあまり変わらなかったんですね。これあんまり関係ないわ実は、と。
でも、タバコ吸った直後に走ると明らかに走れない。タバコはランに長期的にはあんまり関係ないが、短期的にはものすごく関係ある、というのが実感。短期的に関係あるメカニズムは、血管と筋肉が収縮すること。そして、血液中の赤血球に酸素が結びついて全身に酸素を運ぶわけですけど一酸化炭素の方が赤血球との結び付きが強い。これにより、タバコをすうと酸素の運びが悪くなる。この影響は、1日くらいで半減するといわれている。
というわけで、レース前日からは意識的にタバコ控えました。

ランとお酒のメカニズム

お酒も毎日飲みます。ビール最高。ビールって良いよね。ビールに人生の意味を教わったといってもいい。
アルコールもランに良くないのはなんとなくわかるが、なんで良くないのかはわかってなかった。けど、今回、ちゃんと考えてメカニズムを理解した、つもり。
まず実感として、お酒飲んだ後は筋肉つりやすい。お酒を飲んで海に入ったサーファーが溺れるという事件がたまにありますが、あれは判断力が鈍ったからでもなく心臓麻痺になったのでもなく、思いがけず筋肉がつって動けなくなるからだと思う。アルコールによる利尿作用で過剰にカリウムが体外に排出されてしまうから、らしい。
あと、肝臓。ここでハンガーノックの話。マラソン攻略の重大な課題のひとつ、ハンガーノック a.k.a. 30kmの壁。ようするにエネルギー源である糖分の枯渇。糖分は筋肉中と肝臓に貯まっている。まず筋肉中に貯められているのが使われて、不足してくるとバックアップとして肝臓に貯められていた糖分が運ばれて使われる。カーボローディングというのは、ここにできるだけ多くの糖分を貯めておく作業。アルコールを分解するのは肝臓だから、アルコールを摂取すると肝臓が疲れるし糖分の貯蓄量が減る。これにより、アルコールをとっているとハンガーノックが早くなる。
とうわけで、レース前日はビール我慢しました。

ハンガーノック対策

ハンガーノック対策を真面目に考える、というのが今回はじめてやったことのひとつ。いままではハンガーノック対策とかチートだと思ってた。ガーッと食ってガーッと走る、力尽きたらそれまでよ、そういう勝負だろマラソンなんて。と思ってた。でも真面目にサブスリー目指すなら、そんなこといってる場合じゃないなと。科学技術による解明の恩恵は受けるべきだ。イノベーションの末席を汚す特許屋として。
というわけでハンガーノック、糖分の枯渇。よくいわれる「一歩も脚が動かない」というのを体験したことがないのでハンガーノックなんてなんなら都市伝説だと思っていたけど、エネルギー切れと考えれば30kmの壁のことかと納得。それなら身近な体験だわ。あれはハンガーノックなんだな。あと走っていて疲れてくると意識が「なんでこんなことやってんだろ」モードに入ること、ロングのトライアスロンのバイクパートの途中で眠くなること、あれもハンガーノック。血液が低糖状態になり、脳への糖分供給が減って集中力が切れる。神奈川マラソンはエイドの水だけでやりきったんだけど、この後に試しに30km走を水分も何も一切無補給でやってみたところ、20kmでパタッと脚が動かなくなった。おおこれか。これハンガーノックか。納得。それではセオリー通りに補給してみよう。
ここで、時間経過に応じた糖分燃焼と脂肪燃焼をおさらい。

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青い線が脂肪燃焼、赤い線が糖分燃焼。運動直後は主に糖分の燃焼によってエネルギーが供給されるけど、だんだん脂肪が燃え始め、20-30分くらいで脂肪燃焼が糖分燃焼を上回る。この転換点までがキツイが、この後は楽になる。これがランナーズハイの正体。よく「ダイエット目的で運動するなら20分以上運動しないと脂肪は燃えない」といわれるのもこういうこと。たかが数時間の運動で脂肪が枯渇するということはないが、糖分は使い続けると枯渇するので脂肪を燃やす省エネモードに入る。ただし、省エネモードに入った後も糖分が全く必要ないわけではなく、脂肪を燃やす潤滑油として多少必要。事前の体内の蓄えだけでフルマラソンを走り切る糖分は賄えないので、どうしてもレース中に糖分を補給する必要がある。

というわけで、今回は糖分補給の定番、shotzを4つ用意。約10kmごとに1つ摂る計算。

あとタンパク質。これも摂りたいところ。タンパク質(プロテイン)はトレーニング後に摂ると超回復を促すが、運動前に摂ると筋肉の破壊を和らげる効果がある。タンパク質は水に溶かして飲む粉末や固形のものが多いが、水なしでレース中に走りながらでも飲めて、かつそんなにむせなさそうなのを探した。これ。

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前回のフルまでは、エイドに停まると時間をロスるのと自分のタイミングで補給できないのを嫌ってウェストポーチに水やゼリーを背負ってレースを走っていたんですけど、今回はできるだけ身軽で走るためにウェストポーチはしない。パンツのポケットにshotz4つとプロテイン3つをいれて走る。パンツはモンベルのこれ。

前の右左と、右後ろにファスナーつきのポケットがついてるので、補給アイテムは分散させていれておく。

レース戦略/ネガティブスプリット?

前半おさえて後半でペースを上げるネガティブスプリット、それを目指したことが私にもありました。でももーいーよそんなの。無理無理。ちゃんと調べてみれば、結局のところエリート選手でもネガティブスプリットでPBが出るのは何回かに一回の相当調子の良いときだといわれている。そんなエリート選手の真似してもしょうがないだろ。最初から突っ込んで、どこまでペース持つかの勝負。撃沈上等、ポジティブスプリット上等。怯んだら負けだ。

装備

  • グラサンなし、キャップなし。ランニングタイツとかはしない、テーピングもしない。したことない。
  • Tシャツ。パンツはあれ↑
  • 靴はこれ。

靴もあんまりこだわらない。なんとなく適当に軽そうで安いやつをポチる。あんまりモノに拘るといろいろ面倒。

  • アームウォーマー
    Tシャツだけだと寒そうだけど長袖やウィンブレ来ちゃうと暑そうなので、アームウォーマーを初めてゲット。

  • GPSウオッチ
    いま思えば、GPSウオッチを導入したのは大きかったですね。前回まではGPSウォッチどころか時計もせず、時間とかペースとか関係ねえ、余力があれば全力でやるだけだ、とか思ってたんですが、もうちょっと科学の恩恵を受けて、クレバーにやってみようかと。ラップタイムも心拍も測れるGARMINGPSウォッチをゲット。すごく便利。

心拍

というわけでGPSウォッチをゲットして始めて心拍測れるようになったので、測ってみた。けど、よくわからん。セオリー的には最大心拍の80%くらいで走るのが良いらしいけど、神奈川マラソンのときも100%MAX180で振り切った状態で60分。よくわからないので、考えるのを止めた。はなももでも平均95%の170の状態で3時間でした。やっぱりよくわからんw

目標タイム

サブスリーを意識。キロ4:10をキープして、どこまで押せるかの勝負。練習の感じだと、たぶん30kmまではこのペースで持つ。あとはハンガーノック対策がどこまで功を奏するか。まーサブスリーを意識しつつ、結果3時間ヒトケタ出せれば御の字かなと思ってはいた。

当日のレース運び

当日は神奈川の南方から、朝早い電車に乗って北上。
ブロックはC。それでもスタート直後は団子な感じでキロ4:30-5:00くらい。焦らずアップのつもりでついてく。1km超えたあたりからちょっとバラけてきて、ガチにサブスリー狙ってる風のキロ4:10集団が出来始める。集団の中で巡行。エイドは全部よる。食えるものは食う。バナナバナナ。
20kmくらいまでは順調にキロ4:10をキープ。この辺からペースあげてさらなる勝負に出る人や、落ちていく人も出始めて集団がバラついてくる。私もちょっと疲れてきた。ガーミンでペースを見ながら粘る。
30km近くで、なんだかんだやっぱり30kmの壁。ハンガーノック。遅れ始める。GARMINをチェックしながらだましだまし走る。この辺でレース開始時からの平均ペースが4:20より遅れる。キツイ。変に無理したら動けなくなりそうな感じ。このあたりでサブスリーは無理だわと感じる。やはりフルマラソン、あまくない。でもやれるとこまでやる。
GARMINチェックしながら、なんとか1kmラップが5:00より遅れないようにキープ。 35kmくらいから、もうつりそうな感じ。だましだまし走る。
なんとか40kmくらいまでくる。この辺で3時間ヒトケタは確信。41kmくらいのところまできて、よーし最後の勝負や、と思ってスピードあげたら、脚つったw やべーと思って片脚引き摺りながらだましだまし身体を前へ。なんとか止まることなくフィニッシュ。おつ!

ラソン練習はPDCA

Plan, Do, Check, Act。計画し、実行し、結果を分析して、改善案を練って、計画し、また実行する。これの繰り返し。
これをやるのに、文章にしてブログに残しておくというのはけっこう良い。どういうつもりで何をやったかって忘れちゃうので、このときはこういう準備をしてこういうメンタルでこういう結果だったんだな、というのが思い出せるように記録してあると、時間たってからまたやるかと思って次の対策を立てるのに役立ちます。文章で残っていちおう人に読まれると思うとそれなりに改めて考えてまとめようとしますしね。

次レース

湘南国際走れたら良いなと思ってますけど、どうですかね、ちょっとどうなるかわかんないです。最近は少しトレイルの世界に足を踏み入れたりしていて、山はすごく楽しいですけどレース出るかっていうと微妙です。ハセツネとかUTMFとか憧れますけど、夜寝ないのはキツイですね。夜は寝たい。でも来月のUTMFは魑魅魍魎の世界をみてみようと、A2エイドでボランティアやらせてもらうことになりました。走る方、頑張ってください。
あとマラソンは根詰めてやるとぶっちゃけ健康というよりも不健康になってる気がするんですけど、トライアスロンは健康になる気がします。スイムとバイクとランをバランス考えながらやるというのはやっぱり良いですね。毎年いってる横須賀トライアスロンには今年も出ようと思ってます。

今回の練習期間中、この動画を何回も観ました。鏑木さんまじかっこいいです。

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