It's Not About the IP

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大磯クリテリウムにいってきた(2回目)

先々月に引き続き、大磯クリテリウムにいってきました。今期はこれで終了のようで、次回は11月ですかね。ちょっと間が空くので、次回の時に今日いってみた感じを思い出せるように記録しておきます。

いやー面白いです。マラソンとかトライアスロンとかオープンウォータースイムのレースにはない緊張感があります。マラソンとかは基本的にタイムとの戦いなので自分との戦いなのに対し、クリテリウムは完全に相対的な他者との勝負。集団の中でのポジション取り、他の選手の癖や出方、脚の残り具合の観察と推測、集団から出る(出ない)タイミングの駆け引き、ここぞというときのスプリント勝負。フルマラソンとかに比べると時間の短いあっという間の勝負ですが、初心者なりに自転車レースのダイナミズムを体験させてもらいました。

集団走行セミナー(朝6:55集合、7:00-7:30)

朝イチで初心者のための集団走行セミナーというのがあって、前回は申し込みタイミングが遅れて応募者多数により参加できなかったので、今回はきっちりエントリ。20人くらい?で2列になり、コーチ(っぽい方)に引率されながらコースを回りました。走りながら先頭を交代したりしながら、レクチャーを受けます。
・コーナーのアウト→イン→アウトは危険。やめよう。というか反則(斜行)。
・曲がる前に無意識にかもしれないけどちょっとアウト側に振ってる人もいる。これもダメ。危険。気をつけよう。
・ロードバイクのレースは、マラソンとかとは違って、モーターレースに近い。周りの選手が互いに信頼し合い、ケガをしないように気をつけあわないと成立しない。
勉強になりました。コーチの方は「選手だった頃は・・・」とおっしゃっていたので元選手なんでしょうか。ジャージにマイクロソフトのロゴが書いてあったんですが、マイクロソフトって自転車チームのスポンサーとかやってるんですね。

試走(7:30-8:00)

レース前に、自由にコースを走って良い試走時間があります。前回は訳わからないまま終わってしまった感じですが、訳わからないなりに得た教訓を思い出しながら、サーっと何周か走ってコースを観察。コースはこんな感じ(公式ページより借用)。

小田原側に180°のコーナーが1つ、平塚側に90°のコーナーが2つ。走ってみた感じ、180°のコーナーでは充分に減速しないとコース外に突っ込みそうでコワイけど、90°のコーナーではそこそこの減速でやり切れそう。前回のレースの後は、「両端のコーナーで減速してからの半周ごとの勝負」なんじゃないかと思ったんだけど、どちらかというと180°のコーナーを基点とする1周ごとの勝負という感覚で良いのかも。180°のコーナー抜けた直後に試しにスプリントかけてみたら、時速45-50kmくらいまで一気に上げて、勢いに乗って力み過ぎず緩み過ぎずこいで90°のコーナーを2つ抜けてもう一度180°のコーナーに戻ってきたところで35kmくらいまでに下がっていた。私が出るピュアビギナーのクラスでは、前回の記録ではたしか上位の選手が平均時速35kmくらいの記録だった気がする。前半5周のローリングとコーナーの減速を考えても、「180°のコーナー回った直後に時速45-50kmくらいまで上げる→力み過ぎず緩み過ぎず戻ってきて35kmくらい」というサイクルを保てれば、そこそこ上位に食い込めるのではないか。

レース(9:20-)

直前のレースで落車があり、救急車が来ていたので20分押しでスタート。
前半はローリング。前回はじめて体験したが、集団でのローリング中は大して力んでないのに下り坂のようにケイデンスもスピードもけっこう上がる。・・・と思っていたんだけどたぶんここで舞い上がって余裕ぶっこいてたのが良くなかった。ローリング終了の6周目、スタート段階の団子状態の集団の中ではたぶん真ん中くらい。180°コーナーを曲がって、直前の選手に千切られないようについてく。まだ余裕ある。直前の選手に離されないように、90°のコーナーを2つ抜けて無難に戻ってくる。7周目の180°コーナー後、直前の選手に少し離される。全力でこいでサイコンをチラ見すると、アレ・・・?35kmくらいしか出てない・・・ぜんぜん45kmいかないぞ・・・すげーキツイのに!!千切られないように直前の選手だけみてたけど、気がついたらそのさらに前の先頭集団には完全に千切られてる。やばい。気がつけば心肺にキテる。ハァハァなってる。ことに気づいたら一気にゼェゼェなってきた。脚も売り切れ。力入らん。大腿筋が弾力を失ったゴムのようになってるこの感じ、これはフルマラソンで前半突っ込みすぎたときに30kmくらいから感じ始めるやつだ。この辺で心が折れる。折れるなりに頑張るけどもう脚も心肺も売り切れ。必至で踏んでるけど抜かれまくり。なんかスイマセン。ローリング中、余裕ぶっこいてる場合じゃなかった。思えばあそこでもう充分に脚は疲れていたんだきっと。そのままグズグズと最後まで。最終周では意地でそれなりに頑張ってスプリントかけるけど、ヘロヘロのままゴール。

帰り

レース終わって帰りに134号線を走っていたら、もうそれなりに脚も回復してて走れる。もう一度最後3周だけやり直させてくれと思った。そういえばフルマラソンのときも、だいたいいつも次の日くらいに「最後30kmからだけやり直させて欲しい」と思ってる気がする。

教訓

・千切られないように意識するのは直前の人ではない。先頭集団だ。先頭集団に千切られたら終わり。しがみつけ。
コーナリングでは、集団の後方ほど詰まり、コーナー抜けてから追い着くために脚を使うことになる。できるだけ集団前方にしがみつけ。
・ローリング後も残る脚を鍛える練習と、ローリング中に脚を温存する工夫を。ローリング中に舞い上がってケイデンス120で回し続けたり前にぶつかりそうになって脚を止めたりブレーキかけたりしてるのはたぶん間違ってる。ケイデンス90くらいで、脚を止めずにリラックスして回せるようにギアなりなんなり調整しろ。

その他

・競技規則、コーナー等は、回を重ねるごとに少しづつキャリブレーションして変更しているようだ。毎回しっかり確認しよう。
・前回はSPECIALIZEDのゴールアーチが(コース上じゃないけど会場内に飾りとして)あったんだけど、今回はなかった。それっぽくてカッコよかったのにな。ちょっと残念。

次期までにまた経験積んで、リベンジしたいス。ありがとうございました!

色の商標って例えばビアンキのチェレステ?

4月1日から、「新しいタイプの商標」という、「新しくなくなったらどうするんだろう」という余計な心配をしてしまう名前でよばれている商標の登録制度の運用が開始されました。巷では、久光製薬のテレビCMなどでおなじみの「ヒ・サ・ミ・ツ♪」のメロディーや、大幸薬品正露丸でおなじみの「パッパラパッパ♪」のラッパのメロディーなどが出願されたというのがチラチラ話題になっているようです。

http://mainichi.jp/select/news/20150408k0000m020086000c.html

音の商標もそうですが、色の商標というのも認められるようになりました。

玩具大手「タカラトミー」は列車を走らせて遊ぶおもちゃ「プラレール」の線路の色の青を出願。同社は59年の発売時からレールにこの色を使っており、広報担当者は「プラレールといえば青色。登録でブランドイメージをさらに向上させたい」と強調する。セブン−イレブン・ジャパンも、コンビニエンスストアの店舗に使うオレンジ、緑、赤の3色の組み合わせを出願した。特許庁の審査を経て、数カ月後に順次登録される見通しだ。

しかしこういう個別の出願って、特許庁守秘義務があって公表できるわけないですから、各社自ら発表してるんだと思うんですけど、わざわざ発表するのって大丈夫なんでしょうか。敵に塩送るようなもんというか、ヒサミツとかはほぼ確で登録できるんでしょうけど、青のプラレールとか微妙な気がします。競合他社がそんなん知ったら情報提供だか登録異議申立だかの準備はじめるような気がしますけど。

というのはさておき、知財職に従事するトライアスリートビアンキ乗りとして、ビアンキのチェレステって色の商標として登録されるのかなとフト思うわけです。で、まあ出願したら、され得るんじゃないですかね。しない気がしますけど。

ビアンキのチェレステはこれです。この青のような緑のような独特の自転車の色、この色をチェレステといいます。

チェレステ(Celeste)というのはイタリア語で碧空とか天空とかいう意味らしく、ビアンキ創業者で自転車職人のエドアルド・ビアンキが19世紀に当時のイタリア王妃のために自転車を制作して献上して自転車の乗り方を指導した際の、王妃の美しい目の色、という伝説があります。いい話ですね。この色をチェレステと呼ぶこと自体がビアンキ独特の文化だろうと思います。ウェブなんかでのカラーコードはPantone 333(#54dbc2)(C38/M0/Y27/K0)(■■■■■)ということになってるようです。

この色は自転車の需要者にとって、ビアンキだという識別力を発揮しています。街中でみかけたロードバイクやクロスバイク、マウンテンバイクなんかの自転車のフレームがこの色なら、ああビアンキだな、と思います。フレームの「Bianchi」の文字やマークがみえていなくても、です。

例えばウチの4歳娘さえも、もはやこの色を「チェレステ」として把握していて、先日、花見にいった時にテントの色をみて「このテント、チェレステだね」といっていました。さすがビアンキ乗りの娘。

まあさすがに指定商品「テント」についてチェレステカラーの「色のみからなる商標」は識別力なしだと思いますが、指定商品「自転車」についてチェレステカラーの「色のみからなる商標」は識別力あると思います。3条2項の適用を受け得ると思います。

とはいっても、他のメーカ(ルイガノとか)で似たような色の自転車もありますし、普通のママチャリでもこういう色のはあります。そういう意味では普通の色であるともいえると思いますから、26条の適用があったり商標的使用態様じゃなかったりして、権利行使はできないというか、し難いだろうなと思います。

しかし色ってのは、組み合わせならまだしも、一色ってのは権利化してもほとんどの場合に権利行使が難しいような気がしますが、どうなんでしょうか。

ちなみにこの自転車の色をチェレステと呼んでるのは独創性もあるし識別力もあると思いますから、指定商品「自転車」の商標「チェレステ」をビアンキが出願すれば登録できると思いますけど、プラットパットをぷらっと叩いてみると、してないですね。さすがに「ビアンキ」については商標登録されてます。商標登録「ビアンキ」の名義人は「グリマルディ・インドゥストリ・アクチボラゲット」となっていて、スウェーデンの、サイクルヨーロッパの親会社ですね。

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余談ですが、例えば元切込隊長のやまもといちろうさんのブログ背景の緑色も識別力あると思います。あのブログは業としてやってるといえると思いますし、役務の限定の仕方が難しそうですけど、ブログ背景とかでうまく特定して「色のみからなる商標」の出願したら登録され得るんじゃないですかね。しないでしょうけど。

ウェットスーツ比較(トライアスロン×サーフ×スクーバ)

トライアスロンのスイムのパートは海を泳ぐんですが、だいたいの大会がレギュレーションでウェットスーツ着用必須になってます。私はサーフィン用のウェットスーツをもっていたので、まあ同じようなもんだろということでそれを着て出ていたんですが、サーフィン用のウェットスーツとトライアスロン用のウェットスーツとの違いはなんなんだろうな、というのは疑問に思っていました。人に聞いてみたりggったりしてみても、わかるようなわかんないような感じでした。で、このたびついにトライアスロン用のウェットスーツを手にいれたところ、ああなるほどここが違うんだな、と自分なりに思うところがあったので書いておきます。スキューバダイビング用のウェットスーツも持っているので、ついでにこれも比較してみます。

機能的なところの結論をざっくりいうと、
(動きやすさ) サーフィン > トライアスロン > スキューバ
(保温性) スキューバ > サーフィン > トライアスロン
(着脱のしやすさ) トライアスロン > サーフィン > スキューバ
といったところでしょうか。


左から、トライアスロン用、サーフィン用、スキューバ用です。
// この写真、PCでみると普通にみえるんですが、ケータイからみると縦横が逆になって表示されるようです(2015/3/29時点)

トライアスロンのウェットスーツというのは、保温もありますが主な趣旨は安全のためのようです。ウェットスーツは浮くので、着てると浮きます。クロールで掻くわけなので肩回りは動きやすいようになっている一方、足はバタ足という単純動作なので動きやすさはそこそこです。また、トランジションを早くするために着脱しやすいように工夫されています。
サーフィンのウェットスーツは、肩回りもブンブン動きたいですし、腰回りもブンブン動きたいですし、足回りもブンブン動きたいです。というわけで、全身できるだけ動きやすいように工夫されています。
キューバのウェットスーツは保温が命です。動きやすさはあんまりいりません(スキューバではむしろより動かない方がよりスキルが高いともいえる)。

パーツの数

ウェットスーツはいくつかのパーツからできていて、各所に繋ぎの部分があります。一番右のスキューバのでいうと、白い線の部分が縫い目の部分です。首、腕、胴体の部分が分かれていて、足の部分さらにいくつかの部分に分かれています。基本的には、このパーツが多ければ多いほど動きやすいということになります。スキューバはあんまり動かないので腕なんか1パーツですが、サーフィンのもトライアスロンのも、写真からわかりにくいかもしれませんが肩から腕先にかけていくつかの切り込みがあって、いくつかのパーツでできています。サーフィンのは腰部分にも切り込みがあるし足もいくつかのパーツに分かれていますが、トライアスロンのは下半身は腰から膝まで1枚、ひざ下で1枚と、サーフィンよりパーツが少ないですね。

生地

ウェットスーツの生地にはゴム(スキン)とジャージがあります。基本的にはゴムの方がより柔らかく動きやすく、保温性が高いですが、傷んだり破れたりしやすく、料金が高いです。ジャージの方が伸びにくく動きにくく、水がしみてくるぶん保温性が低いですが、丈夫で、安いです。
トライアスロンのウェットスーツは、全体がゴムです。動きやすさ重視ですし、ジャージで水を吸いながらだと推進力的にもブレーキになるからだと思います。サーフィンのウェットスーツももちろん全体ゴムのもありますが、私のこれはパーツごとにゴムだったりジャージだったりします。胴体部分とかはゴムで、青い部分はジャージです。

厚さ

厚い方が保温性は高いですが、動きにくいです。スキューバはあんまり動かないし保温命なので全体として厚い(5mm〜)です。薄い方が動きやすいので、サーフィンのやトライアスロンのは、胴体部分には厚め(3mm〜5mm)の素材を使いつつ、肩から腕にかけては薄め(〜3mm)の素材でできています。サーフィンでは足もバンバン動かしたいので股のあたりから下はやっぱり薄めになっているのに対し、トライアスロンのは、下半身を浮かせやすくさせるためもあり、ヒザまでガッツリ厚いです。

足部分の長さ

トライアスロンの大会なんかで他の選手たちのをみていて、なんだかみんなウェットスーツがくるぶしのけっこう上まででツンツルテンだな、サイズあってないんじゃねーの、とか思っていたんですが、どうやらわざとのようです。その方が脱ぎやすいからだと思います。また、トライアスロンのウェットスーツの足の口部分は、脱ぎ易いように、後側が緩やかに逆V字の切り込みが入ったような形になっています。

首周り

写真からわかりにくいかもしれませんが、サーフィンのとスキューバのとは首回りの部分が襟というかハイネックのように首まできていて、かつ厚くなっていて水ができるだけ入らないようになっています。これに対し、トライアスロンの首周りは、Tシャツのような感じにバックリとしていて首部分まできていません。

ヒザ当て

サーフィンのとスキューバのはヒザ当てがありますが、トライアスロンのはないですね。サーフィンもスキューバも通常動作のうちにヒザをつくところがありますが、トライアスロンの通常動作では泳いでいるだけのはずなのでヒザつかないからいらないということなんでしょうか。

背中ジッパー部分の切り込み


首後ろのジッパー部分の切り込みの長さは、長い方から順にトライアスロン、スキューバ、サーフィンとなっています。トライアスロンの切り込みが長いのは、切り込みが長い方がより早くバカッと開いてズルっと脱ぎ易いからでしょう。ジッパーのヒモもトライアスロンのがいちばん長いです。後ろ手に探って見つけやすいからでしょう。最近のサーフィン用のウェットスーツは被るタイプのノンジップが主流になってきてますが、あれは着脱するのにそれなりに気を遣うので、トランジションで一刻もはやく、かつ雑に脱ぎたいという場面があるトライアスロンにはあまり向かない気がします。

というわけで、同じようなもんではあるもののけっこう違うといえばけっこう違う感じですね。

オマケ

ちなみに、トライアスロンのウェットはだいたいフルスーツ(長袖長ズボン)かロングジョン(袖なし長ズボン)です。私はサーフィン用のシーガル(半袖長ズボン)(しかもジャージ)でトライアスロンレースに出たことがあって(しかも会場でジッパーが壊れて閉まらなくなってしょうがないから背中開いたまま泳いだ)、レギュレーション的にダメとかいわれないかドキドキしましたが大丈夫でした。意外と大丈夫じゃん、と思ってタッパ(上半身だけの半袖)と下半身はトライスーツだけでいったこともあります。近くにマーシャルがいたんですが何も言われなかったので、まあ大丈夫なのかなと思います。

ITレジェンド伝記本をいくつか読んだので感想など

立て続けにITレジェンドの伝記本をいくつか読んだので感想など。ネットでダウンロードできるリチャードストールマン以外はすべて茅ヶ崎市立図書館で借りて読みました。図書館万歳。

順番はなんとなく読んだ順です。

スティーブ・ウォズニアック

アップルを創業したダブルスティーブの一人。コンピューターといえばデカいメインフレームだった時代に、天才的な回路設計でコンパクトでシンプルでクールなパーソナルコンピューターApple Iを自作して宇宙に衝撃を与えた。お茶目で気さくな親しみ易い人柄が滲み出たエッセイのような自伝で、完全にやり過ぎながら悪びれないイタズラの数々の告白にこっちがハラハラするわマジで。子供好きのウォズが発明した遊び「フライングツアー」、ウチでもやらせてもらってます。

スティーブ・ジョブズ

大事なことはLSDから学んだ、と公言してはばからないエキセントリックでエレクトリックなヒッピー。芸術と技術の交差点で点と点をつなぎ続けた。生い先長くないと思ったからなのか、癌が発覚した後の数年間にジャーナリストを密着取材させて書かれた生々しく誠実なルポ。デザインにこだわりまくった彼が、ガンに苦しむ病床で着けられた呼吸マスクを自ら剥ぎ取り、「こんなダサいマスクしてられるか、しょうがない違うデザインのものを5種類もってこい、その中から気に入ったのを選ぶから」と言い放ったエピソードはガツンときました。

スティーブ・ジョブズ I

スティーブ・ジョブズ I

スティーブ・ジョブズ II

スティーブ・ジョブズ II

グーグル

ITバブルの焼け野原から立ち上がった検索の巨人がインターネットの頂点に立つまでの、2006年の絶頂期にかかれたサクセスストーリー。創業初期のサーゲイ・ブリンとラリー・ペイジの2人がバーニングマンというお祭りにいったエピソードがででくるんですが、すごい。砂漠の中に巨大な木の人形をつくってそれを中心として何万人という人が集まってそれぞれにパフォーマンスをしたりバカ騒ぎをしながらテント張ったりして数日過ごし、最後に木の人形を燃やして絶頂を迎えておしまいという。なんだそのお祭り。こういうバカになりきれるのがアメリカの強さだよなと。

Google誕生 ?ガレージで生まれたサーチ・モンスター

Google誕生 ?ガレージで生まれたサーチ・モンスター

ビル・ゲイツ

学生の時のBASICの開発から、MS-DOSWindows、word、excelときてWindows3.0で世界を制したパソコン革命の寵児。この伝記本が書かれたのは1992年なので、Internet Explorer以前、Windows95以前の話なわけですが、この時点で既に史上最年少36歳の米国富豪番付第1位、帝国の天下統一は始まっていたことがわかる。
マイクロソフト共同創業者のポール・アレンは、創業利益で大富豪になるも大病を患ってマイクロソフトから退いたという話ですが、さいきん戦艦武蔵を発見したというニュースがありましたね。お元気そうでなにより。

ビル・ゲイツ―巨大ソフトウェア帝国を築いた男

ビル・ゲイツ―巨大ソフトウェア帝国を築いた男

フェイスブック

SNSの覇者、フェイスブックを率いるマーク・ザッカーバーグの栄光と孤独。リアルタイムで使っているフェイスブックのあの仕様やあの機能の歴史や思想みたいなものがみえて興味深い。「自分の家の前で死んでいくリスのほうが、アフリカで死んでいく人たちのことよりも、 たった今は重要かもしれない」って、うーん、わかるよ。広告ビジネスがフェイスブックを食うというよりもフェイスブックが広告ビジネスを食っていく感じが、なんというか小気味良いですね。

フェイスブック 若き天才の野望 (5億人をつなぐソーシャルネットワークはこう生まれた)

フェイスブック 若き天才の野望 (5億人をつなぐソーシャルネットワークはこう生まれた)

ゴードン・ムーア

インテル創業者。ソニーにおける井深大のような立ち位置でしょうか。IT革命的なことを語る本では一度は出てくる「ムーアの法則」の言い出しっぺの人。ムーアの法則は、集積回路の単位面積あたりのトランジスタ数は2年で2倍になる(≒コンピューターのハードウェア性能は2年で倍になる)的なもの。上記グーグル本では、サーゲイ・ブリンだかラリー・ペイジだかがグーグル初期に、ソフトウェア理論的には可能でもハードウェア処理的に追いつかないような壮大な計画を描き、「大丈夫。ぼくらにはムーアの法則がついてる」と言う場面があった。そんなゴードン・ムーア日経新聞の「私の履歴書」に連載していたことがあったらしく、この本はその連載をまとめて加筆したもの。
カリスマ技術者にしてインテルにおけるもう一人の井深大ロバート・ノイスが、あるトランジスタの改良発明について特許とっとくべきと思って特許弁護士と相談したところ、特許弁護士に「このアイデアで他になにかできるのではないか」といわれたことがきっかけとなってIC(集積回路)を発明したというエピソードは、特許業界に身を置く者としてはニヤリとするものがありました。

インテルとともに―ゴードン・ムーア 私の半導体人生

インテルとともに―ゴードン・ムーア 私の半導体人生

ラリー・エリソン

オラクル創業者で、ITレジェンドきってのリア充。夜中に恋人とドライブしてて通りかかった屋敷が気に入って住人を叩き起こし、その場で400万ドル渡して手に入れた屋敷に入ってセックスに耽った、というマンガにでてくる大富豪のような伝説がシリコンバレーでは語られているらしい。
ヨットレースで優勝したりハワイ・ラナイ島の98%を個人所有したりしているラリーエリソン、下巻の前半に3ページ弱くらい使って、ボディサーフィンやってて大怪我をしたエピソードがあるんですが、大波に巻かれて体の骨がボキボキ折れていく際の描写がリアル過ぎてビビる。こわいこわい。ところで映画マトリックスにでてくる預言者をオラクルオラクルいってるのってこのオラクルを示唆してると思うんだけど、だからなんなのかはよくわからない。

カリスマ〈上〉

カリスマ〈上〉

カリスマ〈下〉

カリスマ〈下〉

アンディ・グローブ

フェアチャイルドセミコンダクタ時代のゴードン・ムーアの部下の技術者で、インテル創業に参画して天才的な経営能力を発揮した。ソニーにおける盛田昭夫のような立ち位置でしょうか。"only the paranoid survive" の名言で知られるシリコンバレー重鎮の痛快サクセスストーリーのつもりで読み始めたら、幼少期の背景となったハンガリーユダヤ人迫害の重い話が冒頭からえんえんと続いてナーバスな気持ちに。他の伝記の著者がジャーナリストであることに対して、この著者はハーバード大学院の経営学教授だからなのか、なんとなく固い感じ。
アンディグローブはもともとジャーナリストを目指していたことがあったらしく文章が達者で、自身でいくつか本を書いていて自伝本とか経営本とか半導体技術の入門書もあるらしい。それも読んでみたいですね。

アンディ・グローブ[上]―修羅場がつくった経営の巨人

アンディ・グローブ[上]―修羅場がつくった経営の巨人

アンディ・グローブ[下]―シリコンバレーを征したパラノイア

アンディ・グローブ[下]―シリコンバレーを征したパラノイア

リチャード・ストールマン

emacsgccなどを開発したレジェンドプログラマにして、フリーソフトウェアムーブメントの尊師。ハーバード学部を首席で卒業かつ数学大会で優秀成績をおさめ大学院選り取りみどりな状態で、リア充かつコミュ力高いハーバードに疎外感を感じ、geekyかつnerdyなMITにシンパシーを感じて移籍、ネットでいうところのいわゆる厨二病を炸裂させて強烈な使命感からフリーソフトウェアムーブメントに猛進する納得の過程が明らかに。
ここはさすが尊師、インターネットでフリー(無料)で読めます…っておっと誰か来たようだ
自由としてのフリー(2.0)リチャード・ストールマンと自由ソフトウェア革命

Free As in Freedom: Richard Stallman's Crusade for Free Software

Free As in Freedom: Richard Stallman's Crusade for Free Software

アラン・ケイ

IT革命前夜にパーソナルコンピューターというビジョンを発明した永遠のSF少年。これは伝記というよりは、メインはアランケイの論文集で、最後にオマケ的に伝記的な評伝がついてる。
上記ジョブズ本では、アランケイゼロックスのパロアルト研究所で試作したパーソナルコンピューター、アルトを見学に来たスティーブジョブズが衝撃を受けたことがきっかけとなってマッキントッシュを開発したエピソードがあるし、上記ゲイツ本では、ビルゲイツがやはりパロアルト研究所に見学にきて衝撃を受けたことがきっかけとなってウィンドウズを開発したエピソードがある。ジョブズゲイツがマルチウィンドウシステムをパクったといって怒り、ゲイツはそもそもジョブズのだってアランケイのパクリじゃないかと反論するわけだが、この本では、アランケイもやはり先人の偉大なプレゼンテーションに衝撃を受けてアルトを開発したエピソードが語られる。いやあ、技術というのはまさに累積的に進歩するもので、パクったとかパクられたとか揉めてもしょうがねーじゃねーかという気がしてしまいますね。

アラン・ケイ (Ascii books)

アラン・ケイ (Ascii books)

トーマス・ワトソン・ジュニア

IBM創業者の息子にして、オフィス機器メーカーだったIBMを不動のコンピュータメーカにバージョンアップさせたIBM二代目社長の自伝。すげードラマ。アイルランド移民としての父親のアメリカ旅回りセールスマン生活からの栄枯盛衰、世界恐慌、信頼と裏切り、第二次世界大戦、自信と誇り、ファミリーの絆。スコセッシかコッポラの映画観てるような気分。
IBMは上記ほとんどすべての伝記でコンピュータ界に君臨する官僚的絶対権力として登場しているが、その絶対権力ももともとは同じように苦節と努力と逆転の物語の末に成り立ってることがわかる。

IBMの息子―トーマス・J.ワトソン・ジュニア自伝〈上巻〉

IBMの息子―トーマス・J.ワトソン・ジュニア自伝〈上巻〉

IBMの息子―トーマス・J.ワトソン・ジュニア自伝〈下巻〉

IBMの息子―トーマス・J.ワトソン・ジュニア自伝〈下巻〉

マイケル・デル

大手コンピュータメーカが売ってるコンピュータはブランド料やら小売業者等の仲介手数料でやたら高くなってるんで、自分で同じ部品買ってきて組み立てたら同じ性能のものが効率良く安く作れるしそれ安く売ったらみんな嬉しいんじゃないの、ということに初期に気付いて実行した人。デル成功の秘訣は、何をやったかではなく、何をやらなかったかというところにある、という話は興味深かったですね。いわゆるダイレクトモデルというもの自体はそんなに革命的な発想なわけでもないとしても、それをやって小売は一切やらないということを徹底できたのはデルだけだったと。ふーむ、なるほどなるほど…。

デルの革命―「ダイレクト」戦略で産業を変える

デルの革命―「ダイレクト」戦略で産業を変える

ジャック・マー

中国発のパラノイアカンパニー、阿里巴巴集団(アリババグルーブ)を創業した馬雲(ジャック・マー)の強烈な下剋上。株主オリエンテッドな現代ビジネス社会において「顧客第一、社員第二、株主第三」を掲げて投資家からバッシングを受けつつも、ひるむことなく「会社の目的は顧客を満足させること、そのために必要なのは社員の努力と知恵、株主の利益はその結果」と払い除けてガンガンいく。「ハーバードやスタンフォードはじめとする色んな大学のMBAを使ったけどほとんど使えない」などと公言してアメリカ文化にケンカ売りながらもニューヨーク証券取引所に上場、史上最大規模の資金を調達して時価総額フェイスブック、アマゾン、IBMインテルなどの超有名企業をゴボウ抜き。このスタイルでどこまで突き抜けるのか、非常に興味深いところ。
この本は中国のIT企業や登場人物がたくさん出てくるんですけど、正直、聞いたことない人ばっかりだし、著者も訳者も中国の人のようで文章構成もなんか読み慣れない感じで、背景や故事もよくわかんなくてよくわかんなかったですが、なんかすごそうだぞ、とは思いました。

アリババ帝国 ネットで世界を制するジャック・マーの挑戦

アリババ帝国 ネットで世界を制するジャック・マーの挑戦

ジョニー・アイブ

スティーブ・ジョブズが全幅の信頼を置き、シンプルかつユーザフレンドリなコンセプトをインプリメントしてアップルを救ったイギリス紳士のデザイナー。
学生の頃から卓越したデザインの才能を発揮し、数々の賞を取ったりして認められながらアップルのデザインチームに加わるもそんなに大成功するわけでもなく、悶々としていたときにアップルに復帰したジョブズに見出され大きく道が拓けていく。…と、ここまではジョニーを中心に話が進んでいくんだけど、その後の中盤以降の主体はアップル自体や経営陣や他のデザイナーとかの話ばかりでジョニーあんまり出てこない。なんというか既にどこかにあるインタビューや逸話を寄せ集めた感はありましたね。やっぱり色々秘密ってことなんでしょうか、アップル。
ちなみにこの本、新刊だったんですが茅ヶ崎市立図書館にリクエストしたら買ってくれました。茅ヶ崎市立図書館万歳。

ジョナサン・アイブ

ジョナサン・アイブ

デービッド・パッカード

ビル・ヒューレットともにヒューレット・パッカード(HP)社を戦前に創業したエンジニアの自伝。ビルとデービッドの創業当時の作業場だったガレージはカリフォルニア州の史跡として「シリコンバレー発祥の地」の記念碑が建てられており、HPの創業がシリコンバレーの起源ということになっているらしい。あんまりコンピュータコンピュータいってるわけではなく、あくまでも電気電子系のエンジニアリング企業として、その一環として(ある意味仕方なく)コンピュータもやり始めたみたいな感じ。エンジニアを信頼して大切にし、エンジニア主導の経営、フレックスタイム、ストックオプション、社会への貢献(CSR)などのカルチャーをポジティブに西海岸に創り出した、らしい。上述のウォズ本、ジョブズ本では、もともとスティーブ・ウォズニアックもHPで働くエンジニアで、ジョブズが熱心に起業を誘うけどHP居心地良いからといって渋るエピソードがありましたね。
前半の創業までのエピソードでは子供〜学生時代が語られていて、聡明な両親のもと恵まれた裕福な家庭に育ち、成績優秀、大学時代には複数種目のスポーツで優秀選手に選ばれ運動部に引っ張りダコでフットボールにいれこんで友達もたくさんいるという、ジョナサンジョースターの大学時代を彷彿とさせる万能系リア充だったようです。
有能な後継の社長としてジョン・ヤングの名がでてくるんですが、そういえばアメリカ主導プロパテントの発端となったヤングレポートをレーガン政権に提出した人は、HPの元社長なのだな…。デービッドも大統領と仲良かったり一時期はHPを離れて国防総省次官を務めるなど、ロビイングも積極的に行っていてさすがのスケールのデカさ。読んだ伝記の中で戦前から続いているのはIBMとHPですが、どちらも飛躍のエピソードとして戦争(真珠湾からの第二次大戦)がでてくるのが印象的でした。

HPウェイ[増補版]

HPウェイ[増補版]

  • 作者: デービッド・パッカード,David Packard,(序文)ジム・コリンズ,Jim Collins,依田卓巳
  • 出版社/メーカー: 海と月社
  • 発売日: 2011/06/27
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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ビル・ジョイ

BSDやviエディタを開発したレジェンドプログラマで「UNIXの神様」、SUN創業メンバーでありJAVA開発メンバー。ビルジョイの伝記かと思ったらそういう感じではなくて、コンピュータの技術的、思想的な進化の歴史の話。二進法を現代数学に持ち込んだライプニッツまで遡って、2000年頃までのコンピュータソフトウェア進化のエピソードとキーパーソンの名前がものっそい出てきます。本もデカイ。ビルジョイの伝記が読みたくて読み始めたのにタイトルに偽りありだなと思って読んでたんですが、そういうもんだと割り切って読んでみればすごく勉強になりました。

ビル・ジョイの冒険―ネットワークをコンピュータにした人々

ビル・ジョイの冒険―ネットワークをコンピュータにした人々

ツイッター

ツイッターを生み出した4人(エブ、ノア、ジャック、ビズ)を軸としたルポ、というか小説仕立てのノンフィクション小説。創業者間の泥沼闘争が生々しいですが、同時代性あるしなんだか等身大で身近に感じますね。上記グーグル本にもありましたが、これでもバーニングマンいったという話がチラッとでてきました。
前半ではジャック・ドーシーのカリスマっぷりがキレキレ、もともと言語障害で鼻ピで全身刺青だらけでファッションデザイナーを目指していたパンク好きにして、凄腕ハッカーツイッター創業者でスクエア創業者のビリオネアで、いまやウォルトディズニーの取締役だなんて…!と思っていたら、後半でツイッターを追い出されてスティーブジョブズワナビーになっていったあたりからちょっとゲンナリでしたが、これからどうなるんでしょうね。

ツイッター創業物語 金と権力、友情、そして裏切り

ツイッター創業物語 金と権力、友情、そして裏切り

ジェフ・ベゾス

ロングテールフルフィルメントセンターなどでEコマースの密林を切り拓いた奇才。早いうちから宇宙開発に傾倒し、2000年には利益度外視の民間宇宙開発企業を立ち上げているらしい。ポールアレンとかホリエモンとかもそうですけど、宇宙開発ってのは金持ったギークにはたまらない趣味みたいですね。

ジェフ・ベゾス 果てなき野望

ジェフ・ベゾス 果てなき野望

フォン・ノイマン

現代コンピュータ科学の礎を築いた天才数学者。フォンノイマンてなんとなく気難しいマッドサイエンティストだと思っていたら、愛想よく人当たりの良い気さくな人気者だったらしい。天才的な数学能力で物理学、経済学、計算機科学、気象学等に切り込んで様々な分野をネクストレベルに押し上げた。ノイマン型コンピュータの論文を発表してコンピュータをさらにつぎの次元に押し上げるために生体医学の研究者に会いまくって医学の成果をコンピュータに持ち込むことを考えていた頃にがんを発症。あと10年ノイマンが生きて考える時間があったら、今のコンピュータはさらに異次元に進んだ全然違う構造になっていたのかも…とかちょっと思っちゃいますね。
フォンノイマンが問題を解く時は、部屋の隅に行って壁と壁の合わせ目をじっとみつめ、ぶつぶつ言いながら身じろぎもしないというスタイルだったらしい。今度から発明検討するときとかに真似してみようかな。

フォン・ノイマンの生涯 (朝日選書)

フォン・ノイマンの生涯 (朝日選書)

アラン・チューリング

…の話かと思ったら、チューリングの話は18章中の1章分だけ。主にはチューリングの理論を基にして実用コンピュータを具体化するアメリカの研究、特にプリンストン高等研究所の話。ライプニッツが17世紀に計算と論理は0と1だけで表現できることに気付き、20世紀に入ってからアラン・チューリングがあらゆる計算が可能なデジタルコンピューティングの理論を数学的に証明、からの、各種の研究成果を集約して英雄フォンノイマンのチームが実用コンピュータ技術の聖書となるノイマン型コンピュータコンピュータの論文を発表するという流れ。ジョン・フォン・ノイマンの一番下の弟、ニコラス・フォン・ノイマン弁理士だったんだってさ。
チューリングは決定不能な問題を解く謎のコンポーネントを理論上想定し、これをオラクルマシン(神託機械)と呼んだらしい。そうか、マトリックスに出てくるオラクルはラリーエリソンのあれではなく、チューリングのこれなんだな。

ルイス・ガースナー

1990年代、IBMの危機を救った経営者。
コンピュータ創世記から絶対的黒幕として君臨してきたIBMが、マイクロソフトインテルにおいしいところを持って行かれて瀕死の状態だったところ、なんだかんだいってIBMの敗北はアメリカの敗北を意味する、として大統領まで巻き込んで改革者を探す騒動の末、IBMのCEOを引き受けた。情報技術に明るかったわけではないが、卓抜した経営者としてIBMの組織と事業リファクタリング。ハードウェアにこだわらず一気通貫でシステムサービスを行うSI事業に活路を見出し、20世紀のIBMから21世紀のIBMへと変身する納得の過程が書かれています。

巨象も踊る

巨象も踊る

大磯クリテリウムに参加してきた

大磯で一般参加の自転車レースをやっているということを知ったので初参加してきました。近いし。
会場は大磯プリンスホテルの駐車場。大磯プリンスといえば湘南国際マラソンの会場であり、湘南ジョガーにとっては聖地のような場所ですが、自転車乗りにとっても聖地だったのですね。

これがガチの自転車野郎たちの世界か・・・胸熱。

湘南国際のときはゴールとか着替えのためのテントとかトイレとかがあるあのスペースです。ここって湘南国際でしか来たことなかったけど、こんなんなんだな。
湘南国際マラソンのとき

↓大磯クリテリウムのとき

↓メカニックのコーナーもあります

↓プールはやってない(あたりまえ)

どうやら自転車の世界では、会場内のコースで所定回数を周回する速さを競うレースをクリテリウムといい、会場内のコースを所定時間内に何周できるかを競うレースをエンデューロといい、ツールドフランスやジロデイタリアのようなのをロードレースというらしい。
ネットで大磯クリテリウムでggるとけっこう落車事故があるみたいで完全にビビッていましたが、運営側でも安全にはとても気を遣われているようで、会場でも安全に安全にというアナウンスが何度もされていました。
・ヘルメットは、指一本入るようならそれはユルい。落車した時はずれる。しっかり閉めましょう。
・コーナーでアウト→イン→アウトにいこうとするが、それやっていいのは独走状態のトップの人とかだけ。レコードの溝を回るように、自分のコースを回る。
・たとえスプリントのときでも、斜めに走ると危ない。自分のコースを走る。
トライアスロンは普通ドラフティング禁止なので、人と密集して走るという経験がないんですよね。早朝にビギナー用の集団走行練習会があったみたいなんですけど、満員で参加できず。ビビりながらネットでマナーやルールを調べたり人に聞いたりした。
というわけで初レースで初めて集団走行を体験したんですが、すごいですね。坂道下ってるような感じ。普段の平地ではケイデンス90の30kくらいで漕いでる正真正銘ビギナーですが、集団の中ではあんまり必死に漕いでないのにふとサイコンみたらケイデンス120の40kとか出てた。

しかしビギナーのカテゴリなのにこれほんとにビギナーなのかよってくらい皆さん全然速い。コーナー後のダッシュで集団に千切られ、風をモロ受けて心も折れてそのまま追い付けず撃沈orz
つうかコーナー後でダッシュかけるべきというのをわかってなかった。そうかこれは10周というよりも、コーナー区切りの半周ダッシュ×20本くらいの気持ちで望んだ方が良いのかもな…

良い経験になりました。ちゃんと修行してリベンジしに行きたいス。
おもしろかった!

今年の今後のレース予定(希望)
・3月(ラン)板橋シティマラソン
・4月(バイク)大磯クリテリウム
・5月(バイク)箱根ヒルクライム
・6月(トライアスロン)アイアンマン70.3ジャパン
・6月(トライアスロンニッサンカップ
・7月(スイム)ラフウォータースイム・イン・鎌倉
・9月(トライアスロン)横浜シーサイドトライアスロン八景島
・10月(トライアスロン川崎港トライアスロンin東扇島
・12月(ラン)湘南国際マラソン

特許の誤解 (中級編)

乗っかってみます。
inspired by 特許の誤解 (初級編)-IPFbiz


Japanese Patent Officeはどこにあるんですか?

Japanese Patent Officeというものは、ありません。

東京にある、特許の許可をしている組織というと、Japan Patent Officeです。
日本国特許庁・JPOは、Japan's Patent Officeでもなく、Japanese Patent Officeでもなく、Japan Patent Officeです。

「JPOJPOJPO!」
簡単に言えます。

ビジネスモデル特許はどうやれば取れるんですか?

ビジネスモデル特許」というものは、ありません。

たまに特許の制度的カテゴリとしてビジネスモデル特許というものが存在するように考えている方がいますが、そういうのはありません。電気、機械、化学などの分野の違いもありますが、特許という制度はひとつで、同じ定義です。そして特許というのは技術的思想の創作に対して付与されるので、経営思想、ビジネス思想自体に特許なんてされません。

ただ、その経営思想、ビジネス思想を実現するために技術的要素が必要な場合、その技術的要素について特許をとって、結果的にビジネスモデル自体を独占するということはあります。

ビジネスモデル特許というものはありませんが、あるビジネスモデルによるサービスをするために不可欠な技術的要素の特許を持っていれば、ビジネスモデル「関連の」特許を持っていると言ってもいいかもしれません。

それはそれで凄いことです。一見して技術的要素のない経営思想、ビジネス思想であっても、どこかに技術的要素を見出し、特許にしていくというのは、特許プロの腕の見せ所でもあります。

特許出願中って凄いんですよね?

まず、出願というのは一時の動作なので、「出願中」というのはオンラインでやる場合は出願ソフトを立ち上げて操作している間、特許庁に出願しにいく場合なら特許庁に出向いて窓口の人に提出しているその間、ということになるから、「出願中」という表現はおかしい…といいたがる妖怪シッタカブリa.k.a.ウィスパーにとりつかれている人がたまにいますが、「特許出願中」というのは条文でも使われている正しい法律用語です。

特許法 第二百条  特許庁の職員又はその職にあつた者がその職務に関して知得した特許出願中の発明に関する秘密を漏らし、又は盗用したときは、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

特許出願中という表現はおかしい、と簡単に言っちゃうくらいの自称専門家だと、あんまり凄くないかも。

特許を取れば儲かると聞きました。

特許を取ったら報奨金がウン万円でた!
技術系企業では特許出願や登録に応じて会社から数万円〜数十万円の報奨金が出るところがあるみたいですね。本当です。

特許権は、発明の実施を独占できる権利であって、ただ持っていても会社として儲かるものではありません。そんなん独占しなくても誰も真似しないよという特許もあります。

でも、特許の出願件数や取得件数、査定率という数字だけが一人歩きして会社の評判に関わったりしますし、特許が絡んだ各種交渉等の場面では単純に数多く特許持ってることがアドバンテージになったりするのですね。

また、特許権を取るまでには、特許印紙だったり弁理士費用だったりで、50万円くらいはかかっちゃいますので、個人で試しにとってみるというものでもないですね。

日頃の業務において画期的な発明をした人は、知財部に、まず出願する価値があるかどうかを相談してみましょう。

会社の知財部が特許を取ってくれるらしいですが。

それは多分、知財部だけじゃなくて特許事務所も絡んでますね。
知財部が特許明細書を内製しているところもありますが。
大企業には発明者自身が特許明細書を書いて出願するというルートが用意されているところもあるみたいですね。

出願書類を書くのにもコツがいりますし、出願する前に近い発明が既に出ていないか調査することも必要。
まあまずは知財部に相談してみましょう。

その出願費用は、事業部持ちになる場合、配賦になる場合、知財部持ちになる場合、本社持ちになる場合・・・など色々のようなので、気になるようなら事前に確認しておくと良いかもしれませんね。

「プリキュアはやっぱりドキドキだよね」という心理のようなもの

一昨年に我が家の4歳娘(当時3歳)がプリキュアにハマり始め、そのころは家のテレビにプリキュアヘビーローテーションで流れていたので私と妻もみているうちに一緒になって熱心になり、今日に至るまでプリキュアブームが続いている。プリキュアはいわゆるゴレンジャー的なものと同様に、キャラクターと世界観が1年でリセットされて新しいシリーズが始まる。当時は「ドキドキプリキュア」で、いま放送されているのは「ハピネスチャージプリキュア」。今月末でこのシリーズは終わって来月から「Goプリンセスプリキュア」が始まる。娘は今のハピネスチャージプリキュアももちろん喜んで観ているのだけど、なんというか我が家にとってのTHEプリキュアはドキドキプリキュアで、先週末もドキドキのDVDを観ながら「プリキュアはやっぱりドキドキだよね」という会話をした。

ドキドキプリキュアが他のプリキュアシリーズよりも面白いと感じる作品側の理由を挙げることは可能で、例えばマナとリッカという普通の女の子のペアに大富豪のアリス(こち亀でいう中川的な)とスターアイドルのマコピー(パーマンでいうパーコ的な)という組合わせとか、ちょっとした出来心的な気持ちを増幅させてモンスターにしてしまう敵の軍団ジコチューという設定の巧みさとか、そしてそれをやっつけると目がハートになって「ラブラブラブ」といって浄化する話の纏め方とか、どれもよくできてる。どれもよくできてるけど、そのどれもが我が家におけるTHEプリキュアがドキドキプリキュアであることのクリティカルな原因ではなくて、クリティカルな原因はたぶん、ようするにハマり始めて熱いれて観ていたのが「ドキドキ」だった、ということなのだろうと思う。

思えば私はジョジョはやっぱり2部だと思っていて、4部以降はこんなのジョジョじゃねえくらいに思っている(理由はここに書いた)のは作品側の問題だと思っていたのだけど、ウェブ上では「ジョジョは5部が最高」という感想もチョイチョイみかける。作品側の問題ではなくて受け取る側の問題だとすると、まあ個人の趣味というのももちろんあるが、ようするに熱いれはじめた時にリアルタイムでやってたのがどの辺だったかという話だと考えれば、5部最高といってるのは主に若い世代であることとも合致して一応納得がいく。

こういうのを思い出補正とか同時代性とかいったりするのかもしれないが、あるシリーズ作品の中でどの辺りを好きかというのは作品側のクオリティの問題ではなくて、受け取る側の諸々のシチュエーションの問題なんだなと明確に感じたのは、私がワンピースを読み始めた頃だ。

ワンピースは私が高校生だか大学生だかの頃に始まって流行っていたが、私がワンピースを読み始めたのは大学を卒業して就職してけっこう経ってからで、その頃にリアルタイムでやっていたのはアラバスタ編とか空島編とかその辺りだった。かなり熱いれて読んでいた。

その頃の通勤電車で、小学生高学年くらいの子供たちがワンピースについて語っているのを小耳にはさんだ。いわく、「ワンピースってさ〜、昔は面白かったけど、最近つまんないよね」。

少年ジョンプどストライク世代であるはずの小学生に「昔は面白かったけど、最近つまんない」といわれたあたりを熱いれて読んでいた私は一瞬何が起きたのかと思ったが、まあそういうことなんだろう。彼にとってのアラバスタ編、空島編は、私にとってのジョジョ5部なんだろう。

というわけで、私はキュアダイアモンドのリッカがスキです。
リッカかわいいよリッカ。