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英数字を半角で書くか全角で書くか問題

ソフトウェアエンジニアの世界では英数字は半角で書くのが当たり前である一方、例えばインターネット上での記事の文章等には英数字を全角で書いているものが散見されます。前者にとって、後者は違和感がある以上に「バカに見える」ことがあり、しばしば話題にあがります。

英数字を半角で書くのが当たり前なソフトウェアエンジニアの世界と、全角で書くのが当たり前な法律の世界とをコウモリのように行き交いする特許の世界に身を置く者として、この問題について書いておくことにしました。

結論からいうと、文化の違いなんでどっちが正しいということはないという話です。

なぜソフトウェアエンジニアの世界では半角なのか

意味が同じなら容量が小さい方が正義だから

半角だと1バイト、全角だと2バイトなので、「1」と「1」とは表現したい意味が同じだとしても、データ容量が倍になります(文字コードにもよるけど)。ソフトウェアエンジニアは、容量や処理負荷をできるだけ下げるように訓練され日々工夫することが当たり前になっています。また、複雑なプログラミング中の冗長な処理や重複した処理を探し出し、少しでも簡略化することを日常的に考えている彼らにとって、明らかにリファクタリング可能な全角数字をそのままにしておくなんて、単なる誤りでしかないのです。彼らは、FizzBuzzをいかにエレガントに書けるか、複雑なプログラムを一行で表現するワンライナーなどに異常なほどの情熱を燃やし、そのことに美学を感じています。これは、ハードウェア性能が潤沢にある状態で2バイトが1バイトになることによって容量圧迫や処理遅延の改善に現実的に寄与するかとは必ずしも関係しません。実利を超えて、もはや習性として、容量が小さく、処理負荷が小さいことは彼らにとって正義なのです。

余談ですが、日本インターネットにおいて、かつては全角6バイトの「(笑)」として表現していたことを半角1バイトの「w」として表現するようになったのは、こういうエンジニア魂から生まれた文化だと思っています。

プログミングの世界で数字と数値は別の意味を持つから

数字としての1と数値としての1とは、プログラミングの世界では全く違う意味を持ちます。プログラミングの世界でのデータには型というのがあって、数字(文字)と数値は別物として扱われるため、別物として扱わないとエラーやバグを引き起こすことになります。例えば、プログラミング上での

251+38

という演算処理は、数字データとして扱うなら出力は「25138」という文字列になりますし、数値データとして扱うなら出力は「289」という数値になります。ちなみに、どっちかだけ数字、どっちかだけ数値とするとこの処理はエラーになります(言語にもよるけど)。

この扱いの違いは、しばしばバグとして現れます。

バグのないプログラムというのは存在しませんので、ソフトウェアエンジニアにとってバグの原因を追究するのは日常業務なわけですが、バグを追っていたら、その原因が数字と数値をごっちゃにしていることだった場合、プログラマーの初歩的なミスとして「あ~あ」みたいな感じになります。また、バグを追っていたら、明らかに文字である全角数字を(ときに直打ちで)数値として代入しようとしている箇所を発見して脱力した、という経験はソフトウェアエンジニアなら大体誰もが持っています。このような経験から、ソフトウェアエンジニアは全角数字を悪とみなしているのです。

プログラミングの世界で、わざわざ全角英数字を使わないといけないシチュエーションというのは、ほとんどないでしょう。このように、ソフトウェアエンジニアにとって全角英数字というのは普段扱わない特別な情報であり、これを扱うことに対して違和感があります。さらに、数値と数字をごっちゃに扱うこと、まして数値としての情報をわざわざ全角数字で表しているものを、「バカっぽい」と感じるのです。

では、なぜ法律の世界では全角なのか

もともとのタイプライターの名残り

いまでは弁護士や弁理士が文書をつくるときにパソコンでワープロソフト等を使って自分で打つのは当たり前ですが、一昔まえには、法律事務所や特許事務所にはタイピストという人が常駐していて、弁護士や弁理士手書きで書いた文を和文タイプライターで打って正式な法律文書をつくっていました。こういうタイプライターで打てる文字というのは、すべて全角だったのです。半角は存在しませんでした。だから、数字だろうが英字だろうが、全角で打たざるを得なかったのです。

その後、パソコンが普及し、全角と半角との双方を一文書の中で扱えるワープロが登場するわけですが、従来の法律文書というのは前述のようになんでもかんでも全角でした。

法律実務の世界というのは、基本的に前倣えの世界です。名文化された法律は絶対であり、判例は神様であり、偉い学者の学説は聖書です。いち法律実務家が、これらを無視して逸脱した理論を構築するのは、例え筋が通っていても、法律や神様や聖書による裏付けがなければ、少なくとも実務の世界では「根拠のない独自の理論だ」として一蹴されるのです。彼らにはこういう世界観があります。

このため、例え形式的なものであるにしても、従来の法律文書で全角で扱っていて何事もなかったことを、パソコンが普及したからといってわざわざ半角に変えるような特別なことをするのは、法律実務の世界では無駄な冒険なのです。

しかも、その後、インターネットが普及して例えば特許の世界でもオンライン特許出願ができるようになり、専用回線を通じてデジタル文書による特許出願書類の提出が認められるようになりましたが、この文書内に半角文字が入っているとエラーとして弾かれて提出できなかったようです。それでもどうしても数字や英字を半角文字として打ちたい場合には、半角文字の間を半角スペースで埋めて、例えば「patent」を「p a t e n t 」のように打てば通っていたようです。今考えるとすごいナンセンスですが、そういう制約に縛られた時代があったのです。

このような歴史から、法律の世界では、ソフトウェアエンジニアの世界とは逆に、文書中にわざわざ半角を打つメリットがなかったのです。

現在でも、新聞会社等がやっているインターネット上でのニュースサイトでの記事中でURLを示す英字が全角で書かれていて、アホじゃねーのと思うことがありますが、これは新聞社や出版社などでも、同じような理由から歴史的に文字を全角を扱っていた名残なのです。

このように日常業務的に全角英数字を打つ世界の人は、ふだんのブログ書くときなんかも自然と全角になるという話ですね。私のこのブログも、なんだかんだソフトウェアエンジニアから特許業界に転職した直後の2007年頃から書いていて、最初の方のエントリでは半角英数を使ってますが、特許の世界に入り浸るに連れてだんだん全角が増えてきます。

というわけで

それぞれに理由があって、これはもう別に、どっちが良いとか悪いとかいうわけじゃない、宗教論争というか自転車置場の議論の類ですね。

ただまあ、私見ですが、特許明細書で地の文の英数字を全角で書くのはもう慣れましたけど、先行文献としてURLを記載することがありますが、ここを全角で書くのはナンセンスで半角で書くべきだと私は思います。また、明細書中の英字略語には括弧書でフルに書くというのが慣例ですが、これも地の文ではまあ例えば「PC」と全角で書くとしても、括弧書の中は全角で「PC(personal computer)」とか書かずに半角で「PC(personal computer)」と書くのが自然だし読み易いし正確だと思いますけど、どうですかね。

ピュアビギナー~2年目のトライアスロン覚書

先週末は弁理士試験の口述試験、北方に並々ならぬ覇気を感じつつ(受験生の方も試験官の方もお疲れ様でした)、横浜シーサイドトライアスロンに参加してきました。

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まだまだビギナーですが、これでトライアスロンレースも2年目2シーズン目が終了、自分なりに試行錯誤しながら、ショートから51.5、アイアンマン70.3まで通算6レースでてきてそれなりに小慣れてきたところもあります。ピュアビギナーだった2年前にもインターネットでggっていろいろ参考にさせてもらったりしましたが、インターネットは時を越えるので、2年前の私の検索に引っかかることを期待しつつ、覚書を残しておこうと思います。

ミニマルトライアスロン

できるだけモノに頼らない、シンプルなトライアスロンを心掛けています。いろいろ便利ガジェットがありますけど、モノが増えると準備にもレースにも気にしなきゃいけないことが増えるし、トランジションにも時間がかかるので、なくても良いものはできるだけないかシンプルなもので済ませるようにしています。(べ、べつに貧乏性自慢じゃないよw?)

パッキング

トライアスロンギアメーカーから、トライアスロン用のバックパックがでています。

2XU トランジション バッグ

2XU トランジション バッグ

こういうのってトライアスリートっぽくてかっこいいんですが、だいたい40Lくらいで意外と心もとないというかギリひと通り入るくらいの大きさのものばっかりです。ですが、例えば泊まりが必要な場合には着替えとか生活用品とかもオールインワンでいれたいので、登山用の60Lのバックパックを愛用しています。これだけあるとヘルメットも余裕で入るし遠征のときにおみやげとか買っても全部はいります。全部入って手が自由になるという安心感はでかい。これならバイク移動もできるので、輪行バッグと合わせればなんだかんだ公共交通機関+バイク自走で大体のレースは行けます。

TIOGA(タイオガ) コクーン ポーチ タイプ) ブラック

TIOGA(タイオガ) コクーン ポーチ タイプ) ブラック

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会場が自宅から20km圏内くらいのレースなら、これ背負ってバイク自走で帰ってくるのは当たり前になりました。

トライスーツ

着替えずにスイム、バイク、ランと一着でいけるトライスーツというのがあります。便利。トランジションエリアにはだいたい更衣室が用意されていて、種目ごとにレーパンやTシャツなど着替えている人もいなくはないみたいですけど、面倒だしトランジション時間かかるのでふつうはトライスーツになると思います。生地は要するに水泳パンツみたいなやつですね。

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バイクのとき用に、背中に補給食いれるためのポケットがついていて、尻パッドもついてます。 上下繋がってるワンピースタイプと、上下別のセパレートタイプのがあります。それぞれ前ジッパーのと後ジッパーのがあって、セパレートタイプはノンジッパーのもあります。
選手が前空きジッパーの前をあけてレース会場周辺をウロウロしているのがはしたない、みたいな話になったらしく、最近の堅い大会(横浜トライアスロンとか)では前空きジッパー禁止のレギュレーションになってたりするので要注意です。後ジッパーか、セパレートのノンジッパーを用意しておきましょう。
私は最初はワンピースを着てたんですが、ジッパーと生地のつなぎのとこが破れてきたんでジッパーなしのセパレートにしました。どうしても引っ張ったりしますからほつれるんですね。ワンピースでジッパーなしってのは構造的に無理なんだと思うので、ジッパー避けようとしたらセパレートにならざるを得ないです。セパレートでジッパーついてるのもありますが、私的にはそれいったい何得なのと思います。

  • ワンピースと比べたセパレートのpros & cons
    • pros
      • ジッパーなしがあるので破けたりほつれたりし難い
      • トイレにいくのがラク
      • デザイン的な意味でも、機能的な意味でも、上下を自由に組み合わせることができる。
    • cons
      • 分かれてるぶん、上下別になるので1着よりちょっと値が張る
      • 分かれてるぶん、上下別になるので1着よりちょっと荷物が増える(準備でトライスーツをパッキングする時にワンピースだと1個で済むがセパレートだと2個になる。あっ、上だけ(下だけ)忘れた!とかないように気にしないといけない)
      • レース中に腹部分がめくれたりズレたりすることがある(気にしなければ気にしないで済むけど)
      • 腹部分でちょっと締まるので腹部で締めのないワンピースよりもちょっと苦しい(ような気がするという人がいるけど私は特に感じない)

ゼッケンベルト

これも最初は持ってなかったんですが、便利。ちなみにマラソンなんかのレースだとゼッケンは2枚提供されて、前後に1枚ずつ着けます。これに対し、トライアスロンレースでもゼッケンは2枚提供されるものの、バイクで後側に1枚、ランで前側に1枚つければOKです。最初は「じゃあなんで2枚あるの?」と疑問に思っていたんですが、バイク用のウェアとラン用のウェアとにそれぞれ安全ピン等で予め留めておくことを想定して2枚提供されているようです。ゼッケンベルトでやれば、使うゼッケンは1枚で済みます。

ちなみに横須賀のトライアスロンレース・ニッサンカップでは安全ピンが禁止されていて、レースナンバーベルトという名のゴムひもが提供されますw

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レース中補給食(ゼリー)

これもいろいろ試しましたが、レース中にアミノ酸をとったら劇的に回復した(気がした)という体験をしてから、私が気に入って使ってるのはこれ。ショートのときはトランジションエリアに置いておき、長めのときはトライスーツの背中ポケットにいくつか入れておきます。

アミノバイタル ゼリードリンク SUPER SPORTS 100g×6個

アミノバイタル ゼリードリンク SUPER SPORTS 100g×6個

Shotzとかマルトデキストリンの入ったシャレオツで高機能な小さいのに比べるとちょっとかさばりますが、ああいうのはベトベトするしこっちの方がお手頃でお気に入りです。 バイクのドリンクホルダーにいれておくドリンクはこれ。

アミノバイタル クエン酸チャージウォーター20本入箱

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長めのレースではゼリーだけだとどうしても腹が減って、腹が減るとやる気がなくなるので、バイクではカロリー高めのランチパックとかバナナとかを背中のポケットに入れておき、走りながら食べます。

ウェットスーツ

市民トライアスロンレースでは安全のためレギュレーションでウエットスーツ着用必須になってるのがほとんど。最初の数レースではサーフィン用のシーガルやタッパを着たりしていたんですが、wiggleで専用のやつを買いました。ウェットスーツ比較はここに書いた。

ysmatsud.hatenablog.com

やっぱりトライアスロン用のはサーフィン用のよりすごく泳ぎやすいです。

ゴーグル

オーシャンスイム用のゴーグルは透明だったり視界が広くなってたりするんですが、いまだに普通な感じのを使ってます。オーシャンスイム用のゴーグルが透明なのは、自分が見やすいのもありますが、いざというときにライフセーバーが選手の目をみてイッちゃってないか確認しやすくするためというのもあるようです。まあオーシャンスイム用のがあればあった方が良いんでしょうけど、特に絶対の必要性は今のところ感じてないですね。

TYR(ティア) SPECIAL OPS 2.0 POLARIZED-GERMANY LGSPLGE

TYR(ティア) SPECIAL OPS 2.0 POLARIZED-GERMANY LGSPLGE

ゴーグルの曇り止め

もってない。スクーバダイバーとしてのノウハウ、「曇り止めはツバ塗って流しとけばOK」を適用しています。

ワセリン

これはあった方がよいです。スイムの時に私はとくに首の後ろが擦れるので、ここに塗ってます。長い距離のレースでは出血するほど擦れてきて痛くて気になることがあります。

ワセリンHG

ワセリンHG

バイク・グローブ

これは最初はしてたんですが、トランジションに時間かかるし、なきゃないで別に大丈夫っぽいので最近のトライアスロンレースではしてません。クリテリウムとかではグローブ着用必須だったりするし、冬場のトレーニングでは手が凍るので持ってはいますけどね。

サングラス

これはなくてもなんとかなるのかもしれませんがしてます。ないとバイク走ってて目が乾くし、小石かなんかが顔に飛んできて、サングラスにカツっと当たって助けられたこともあります。ランのときはサングラスはしません。

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靴下

バイクでもランでも単独競技のときは履きますしトライアスロンでも最初は履いてたんですが、よれがあるとレース中に気になって焦るし、履いてなきゃ履いてないで別に大丈夫っぽいので最近はレースでは履いてません。

サイコン

これはあった方が良いです。周回レースでは途中であれいま何周目だったっけ?とわからなくなります。サイコンがあれば距離でわかるので安心です。あとやっぱり練習用にも、レース中のペース配分にも、ケイデンス計があった方が良いです。

GPSとか心拍計とかそういう系のウォッチ

なきゃないでなんとかなりますがあった方が良いと思います。私はいまだに持ってませんが、ネクストレベルに上がるには、心拍測りながら追い込むトレーニングをしないといけないのかな、という必要性をだんだん感じつつあります。

バイク

基本的なことはここにかいた。

ysmatsud.hatenablog.com

DHバーつけたり、ディスクホイールとかコンポとかタイヤとかいろいろ良いのにした方が速くなるんだろうな、とは思いつついまんとこサイコンとドリンクホルダーつけたくらいであとはデフォルトからいじってません。とりあえずエンジン鍛えるのが先だし、そこにまだまだ伸び代があると思っているので、エンジン的に行き詰った感を感じるまではデフォルトのままいこうと思っています。

トランジションセッティング

これもいろいろ試行錯誤しましたが、いまはこんなかんじ。

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バイクシューズの中には補給ゼリーとサングラス、ランシューの中には補給ゼリーと日光避け兼汗拭きの手拭い。以上。ランのときは帽子とかサンバイザーとかはしなくて、手拭いを頭に巻いて走ります。 ハンドルにヘルメットとゼッケンつけたゼッケンベルトをひっかけておきます。

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スイムパート

焦らない。これに尽きる。スイムが強風の影響で200mに短縮されたレースのとき、200mくらいだったら全力でとばしても持つべ、と思ってとばしたら100mくらいで息が切れて通常3-5ストロークごと1呼吸なところが2ストローク1呼吸しないと持たないようになり、焦ってその後のバイクでも10kmくらいまでクラクラするのを引きずった、というのを体験してから、スイムはとにかく焦らず、タイム度外視でバイクのアップのつもりでリラックスして泳ぐようにしています。
あとそういえば、トライアスロンのスイムにはバトルというのがあり、わざと人に肘当てたり蹴ったり背中押して沈めたりする、というのを聞いてたんですが、私はそんなに酷いのには遭ってないです。気付いてないだけかもしれませんがw

バイクパート

キツくても姑息なようでも出れるところでしっかり出ておくこと。下り坂とか追い風の場面では自然の力を利用できるだけ利用して全力で漕いでスピードのせて抜けるだけ抜く。上り坂でも周りの選手はやっぱりスピード落ちるので、気合い入れてダンシングで抜けるだけ抜く。あとターンでスピード落とした折り返し後にもしっかりダンシングしてスピード立ち上げる。こういうポイントポイントでのひとつひとつをサボらないことが、最終的な順位にもタイムにも影響してきます。

ランパート

バイクでスピードにのった後のランはすごく遅く感じますが、体感よりもスピードでてることが多い。この時点ではもう心拍もアドレナリンもあがりきってるので、意外とラク。水分補給に気をつけながら、追い込めるだけ追い込め。

それでは、良いトライアスロンを!

ランニング本の感想など

5年くらい前に初めてフルマラソン走ってから、なんとなくノリと勢いで走ってますけど、ここにきてなんだか走るの面白くてしょうがねえなって思うようになってきました。というわけで、ランニング本たちの感想などを、記録として。
 
メキシコの秘境で走り続ける民族・ララムリ(タラウマラ族)を命懸けで追ったドキュメンタリー。現在のイカれたランナーは大体読んでるマスターピース人間の体はそもそも走るようにできており、走ることは人間の根源的な欲求であり喜びである、ということを異常な説得力で感じることができます。
BORN TO RUN 走るために生まれた~ウルトラランナーVS人類最強の”走る民族”

BORN TO RUN 走るために生まれた~ウルトラランナーVS人類最強の”走る民族”

 
 
  • 『走ることについて語るときに僕の語ること』村上春樹
日本で最も売れている小説家、みんな大好き村上春樹はけっこうハードなマラソンランナーなわけですが、そんな村上春樹が走ることについて語るエッセイ。わりと人格者として語られることの多い村上春樹ですが、フルマラソンを走ってると30kくらいから周りの全てのことに腹が立ってくる、みたいなことを書いていて、あーわかるわかるwと思いました。
走ることについて語るときに僕の語ること (文春文庫)

走ることについて語るときに僕の語ること (文春文庫)

 

 

  • アルプスを越えろ! 激走100マイル』鏑木毅
いやー、こないだのUTMF、すごかったですね。まさかのララムリ登場、そして棄権。事前の噂では今年はコースがちょっと緩めと囁かれておきながら、雨により一転して泥濘地獄、そもそもがそうとう脚に自信のある人しかエントリしてないはずなところの完走率40%、しかし大きな事故なし。国内最高峰レースとしての威厳と格が増したというところでしょうか。そんなUTMFの実行委員長であり、日本トレイルラン界で若干宗教的なほどの崇拝を受けている「鏑木さん」の自伝。恵まれた資質があるわけでも天才でもないが、まさに走れるときは走り、走れないときは歩き、歩けないときは這ってでも前に進むというロングランニングのような挫折と努力と前進の半生、UTMBを走った後に「日本でも100マイルレースを」とUTMFの開催に奔走するアツいドラマを垣間見ることができます。
アルプスを越えろ!  激走100マイル―― 世界一過酷なトレイルラン

アルプスを越えろ! 激走100マイル―― 世界一過酷なトレイルラン

 

 

  • 『マラソンランナー』後藤正治
ノンフィクション作家・後藤正治による日本マラソンランナー列伝。1912年のストックホルムで日本人として初めてオリンピックに出場した日本人2人のうちの1人、金栗四三から始まり、孫基禎田中茂樹、君原健二瀬古利彦谷口浩美有森裕子高橋尚子までの各時代を象徴するマラソンランナーたちの栄光。そして全編通して影の主役のように語られる、1964年の東京オリンピックで日本のために走り、若くして自害した、三島由紀夫の小説のような円谷幸吉の悲運。日本マラソン界の歴史に重みと尊敬を感じます。
マラソンランナー (文春新書)

マラソンランナー (文春新書)

 

 

  • 『EAT & RUN』スコット・ジュレク
完全菜食主義者(ヴィーガン)にして、ウエスタンステイツ(160kmトレイル)7連覇、スパルタスロン(246km)3連覇、バッドウォーターウルトラマラソン(217km)2連覇などの偉業を成し、生きる伝説となった偉大なカリスマランナー、スコット・ジュレクの自伝エッセイ。ヴィーガン料理のレシピなんかもちょこちょこ入っていて美味しそうです。なんというか、サーフィンにおけるジェリーロペスのような、ダイビングにおけるジャックマイヨールのような 、聖人がかったような仙人がかったようなオーラを感じます。そういえばトライアスロン初期の1980年代にアイアンマンレースを6連覇したデイブ・スコットもヴィーガンだったらしいですね。影響されそうな予感…
EAT&RUN

EAT&RUN

 

 

なんだかやたらと筋肉をみせつける半裸写真を披露していて、アメリカの女性誌で「スポーツ界で最もセクシーな男性」の1人として選ばれたりしているらしいスーパースター。サーフィンもやるみたいですね。フルマラソン42.195kmの距離を超えるウルトラマラソンと呼ばれるジャンルのレースを徹夜で走り続ける変態ランナーの狂った告白に若干ひきながらも、徹夜で走るのも悪くないかも・・・と思ってしまいます。
ちなみに、『BORN TO RUN』では、スコットジュレクが英雄として語られていることに対し、ディーンカーナゼスはコマーシャリズムに魂を売ったセルアウト野郎として、なんかそんなに恨みでもあんのって感じに語られます。
ウルトラマラソン マン

ウルトラマラソン マン

 

 

  • 『Run or Die』 キリアン・ジョルネ 
比較的年齢を重ねた人が活躍するトレラン界において、世界最高峰レースであるUTMBに若干21歳で優勝して二連覇したスペインの新星。山岳スキーやマウンテンバイクの選手としても活動するガチの山ヤ。この人はfacebookでわりと頻繁に情報発信していて、雪山の尾根を走ったりするGoProの映像とかをバンバン流してくるんですが、やばいですね。みてるだけでヒヤヒヤします。

https://www.facebook.com/kilianjornet

Run or Die

Run or Die

 

(日本語版はRUNNETからのみ) 

runnet.jp

 

  • 『非常識マラソンメソッド ヘビースモーカーの元キャバ嬢がたった9カ月で3時間13分!』岩本能史
皇居ランの爆発的ブームの火付け役の一端を担ったといわれる、一般市民ランナーのバイブル。私もランニング始めて最初に読んだのがこれでした。
「体幹ランニング」を提唱する金哲彦の教則本。わりとかっちり、「ランニングとは、フォームとはこうあるべき」みたいなことをいう人です。
金哲彦のランニング・メソッド

金哲彦のランニング・メソッド

 

 

  • 『マラソンは毎日走っても完走できない 「ゆっくり」「速く」「長く」で目指す42.195キロ』小出義雄
有森裕子高橋尚子などを五輪メダリストに導いた小出監督教則本。「ランニングこうあるべき」という感じではなく、走り方は人それぞれだし、気持ち良く走っていれば自然と走り方は身についてくる、みたいなことをいう人。私も走り方についてあれこれ悩みだしたときがあったんですが、この本を読んで救われました。これ読んで以来、あんまり熱心にランニングメソッドの勉強とかはしなくなりましたね。

 

  • 『すべてのマラソンランナーに伝えたいこと』瀬古利彦

世界最強と謳われながらオリンピック恵まれなかった無冠の帝王としてマラソン史名を残す世界のセコのマラソン哲学。半端ないストイックっぷりで、普通の市民ランナはあんまり参考ならないスーパーエリート伝説がてんこもり

 伝説1. 高校時代に800mと1500mとの2種目で二年連続インターハイ優勝
 伝説2. マラソンシューズは大学生の頃からメーカーに特注品を作ってもらっていたがシューズに対するこだわりはなく、市販のものでレースを走ったこともあるくらいだ
 伝説3. レースが終わるとシューズは人にあげてしまっていた
 伝説4. 初めて走ったマラソンでは30kまでの練習しかしていなかったので2時間26分もかかってしまった
 伝説5. ある程度のレベルまでくると時計がなくてもだいたいのペースはわかるもので、訓練すれば400mを1秒も狂わず走ることができるし、0.5秒ずつ調整して走ることもできる
 伝説6. 40kのタイムトライアルを一度も給水せずに行ったりしていたがたまにはそういう無茶も必要
 伝説7. 気力が抜けてしまうので男女交際も性行為も禁止。脳や神経が疲れるのでヘッドホンで音楽を聴くのもコンピュータゲームも車の運転も自転車も禁止。自転車でいける距離なら走れば良い
 伝説8. レース10日前から食事の量を減らし、レース前は腹が減っていてまさにハングリーな状態。その方が感覚が研ぎ澄まされ、集中力が増す
 伝説9. 心酔する監督、中村清は選手に向かって、「君達はこの土を食べれば世界一になれるといわれたら食べることができるか。私はできる」といって土をじゃりじゃりと食べ始めた
 伝説10. 箱根駅伝でタスキをつないだ後にバタンと倒れる選手がいるが、頑張ったことをアピールしたくてあんなポーズをとっているのかなと疑ってしまう。私はマラソンで勝ち、ゴールした後でも常に4,5kは走れる余力を残していた。倒れるくらいならもっと練習しなさい。
 伝説11. 解説の仕事は楽しい。移動中継車は選手の真正面の位置を走るので、選手に向き合う特等席でマラソンを見られる。しかし、苦労もある。トイレの問題だ。マラソンは2時間程度だから我慢できるが、箱根駅伝は6時間くらいかかる。私は前日の20時以降は水分を控え、万が一の場合に備えて紙おむつをして解説席に座る。
 
ひとつも真似できる気がしませんw
すべてのマラソンランナーに伝えたいこと

すべてのマラソンランナーに伝えたいこと

 

 

「アイアンマン70.3セントレア知多半島ジャパン」完走しました

アイアンマンレースとは

アイアンマンレースというのは鉄人を想起する過酷なレースの一般名称のようにも思いますが、その世界では特定ブランドのトライアスロンレースの固有名称で、商標登録もされています。けっこうしっかり商標管理されてるみたいです。

トライアスロンはキツイですが、いわゆるオリンピックディスタンスと言われているメジャーな距離はそんなに長くなくて、スイム1.5k、バイク40km、ラン10kのトータル51.5kです。オーディー(OD:Olympic Distance)とかゴーイチゴとか言ったりします。だいたい2〜3時間くらいで終わります。これに対し、アイアンマンを冠したトライアスロンレースはスイム3.8k、バイク180k、ラン42.195kでトータル10時間〜16時間くらいかかる変態レースです。で、これがちょっと長すぎて開催する側も参加する側も敷居が高いからなのか、これの半分の距離、スイム1.9km、バイク90.1km、ラン21.1kmでトータル113.1km≒70.3mileのレースが、アイアンマン70.3としてアイアンマンブランドで行われています。フルアイアンマンの半分ですが、それでもオリンピックディスタンスの倍以上ですね。というわけで今回はこの、アイアンマン70.3セントレア知多半島ジャパンに参加してきたので記録しておきます。

前日

開催地は愛知の知多半島で、前日説明会に出なきゃいけないので神奈川県民が参加するには前泊必須です。家族旅行にこじつけて行ったら良いんじゃないかと思ったんですけど、妻子にフラれたので今回は一人旅です。寂しいとも思ったんですが、いざ一人旅となったら眠っていたバックパッカーの魂がフツフツと蘇ってきて、荷物配達なし、宿予約なし、鉄道切符のみのバックパック輪行スタイルでいくことにしました。

バックパックは60リットルです。よく売られているトライアスロン用のバックパックはだいたい30リットルかもうちょっとくらいで、トライアスロン道具だけ入れるならそれでも充分なんでしょうが、その他の泊まりに必要な日常用品とかまでオールインワンで持ち運ぶには心もとないですね。60リットルあれば充分でした。背負ってしまえば多少のバイク移動もできます。

名古屋だがや

中部国際空港セントレアに着いて前日説明会。空港内のイベントスペースのようなところでアイアンマンエクスポという大会グッズを売ったりしているところがあって、散財するのもやぶさかでないと思って現金もって楽しみに行ったんですが、思ったようなものはなくて結局なにも買わなかったですね。キッズTシャツあったら同じ柄のを妻子に買って帰ろうかなとか、なんだかんだいってMドットのバックパックの現物みて良さそうだったら買っちゃおうかなとか、アイアンマン印のトライスーツあったら欲しいなとか思ってたんですけど、なかったですね。残念。

中部国際空港で選手登録その他の手続を終えて、バイクチェックイン用の選手用無料シャトルバスでスタート地点の新舞子に移動。

いやー湘南の黒砂ビーチも好きですが、やっぱり白砂のビーチって良いですね。

諸々の前日準備を完了し、夕方くらいにさー宿どーすっかなと考え始めました。名古屋まで戻っちゃえばなんとでもなりそうですが、明日は朝6:00くらいには新舞子のスタートエリアについていなければならず、名古屋だと電車動き出してから始発でも厳しそうです。とりあえず、名古屋とは逆方向の中部国際空港に戻る選手用循環シャトルバスに乗ります。シャトルバスは中部国際空港東横インを経由するようで、どうやら選手は東横インに泊まってる人が多いようです。フーンと思ってバスの中でiphoneで検索してみると…空きがあるじゃないですか、東横イン。おーこれにしちゃおっかな、と思ったんですが、そんなにスンナリ決まっちゃうのもつまんないなという謎のバックパッカー魂が邪魔をして、バスを降りるも東横インをスルー。

とりあえず電車に乗って常滑駅に向かいます。
常滑といえば、日本ヒップホップ好きにはたまらないTOKONA-Xの地元、名古屋ほどとはいかないまでもそこそこの繁華街とサグでドープな裏道…みたいなのを想像していたら、なにもない。駅おりてビックリしました。なにもない。繁華街なし。腹減ったのでちょっととりあえずラーメンでも食いたいなと思ったんですがラーメン屋なし。というか飲食店なし。駅前のガード下的なところに数件の店らしきものがありますが閉まってるし電気消えてるし人影なし。どこにでもたくましく店をだす中国人の中華料理屋もなし。コンビニやスーパーも見当たらない。
そうですか。

途方にくれて放浪していたところ、町の外れに24時間営業の漫画喫茶を発見。

今夜の宿はここで。

漫画喫茶の個室でトランジションバッグを整理します。

なんか電気がすごい明るいしJ-POP的なものの有線放送がそこそこの音量で呪いのようにずっとかかっていて寝れず、21:00ころにやっぱり大人しく東横インいっとけば良かったかな〜なんて思いながらiphoneで再度検索したら、まーもう空きにはなってないですね。そりゃそうだよね。

というわけで開き直って弱虫ペダルなど読みながら、ティッシュペーパーを耳栓として丸めて耳に突っ込んでJ-POPの呪いを低減し、体を休めます。

当日

3:00くらいに起きて、飯食ったり弱虫ペダルの続きを読んだり荷物の整理をしたり。アイアンマンレースではトランジションバッグ以外の荷物は預かってくれないので、このデカいバックパックをどこかに預けなくてはなりません。常滑駅前にコインロッカーがあるみたいなので、朝4:00過ぎくらいに漫画喫茶を出てタクシーで常滑駅へ。駅のシャッターが下りていて若干イヤな予感がしながらコインロッカーを探すと、シャッターの向こうの券売機の隣にコインロッカーが。なんでそこシャッター内なんだ…。やばい荷物どうしようかなと思いながら常滑駅の電車始発時間を調べると、5:00チョイ過ぎには始発があるようだ。だったらその前にシャッターあくんだから、それからコインロッカーに荷物預けて常滑駅前から新舞子までの選手用シャトルバスに乗ればセーフのはず。というわけで、1時間弱くらい、人のいない常滑駅でシャッターが開くのを待つ。

5:00くらいに無事にシャッターが開き、コインロッカーに荷物をいれて選手用シャトルバスへ。

いよいよきました、アイアンマンの舞台。

レース前の最終バイクチェックをします。

トランジションエリアT1はこんな感じ。

他のトライアスロンレースではバイクおくところの地面に着替えとか道具とか置きますが、アイアンマンでは個々人ですべての道具をバッグにいれてここにぶら下げておきます。トランジションエリアで物を地面に置きっ放しにしていたらペナルティ対象だといってました。

目標タイムは、こないだの51.5が2:40くらいだったので、その倍+α+βってことで、6時間くらいかなと。additionalな目標として、バイクのAv30km/h以上、ランサブ100minを心に秘めて挑みます。

スイム

スイムはあんまり頑張り過ぎると呼吸が乱れて次のバイクに影響するしバトるのも気分よくないので、トライアスロンのスイムはのんびりとアップくらいの感じでいくのが定石になりつつあります。泳ぐのはスキだし水の中にいるのがスキなんですよね。水の中にいるとなんか安心します。レースでワーワーいっててもよーいスタートで始まって水の中に入ると、水の音以外何も聞こえなくなって一気にシーンと落ち着くあの感じ、あれもたまんないですね。
というわけでスイムはバトルを避けて端っこの方をノンビリ泳ぎながら無難に完泳。

バイク

昨年始めたばかりでバイクにはまだまだニガテ意識がありますが、今年は大磯クリテリウムや箱根ヒルクライムなどのレースに参加してそれなりに経験値を貯めてきました。
ロードバイクにDHバーつけた方が良いですかねと地元のトライアスロンショップに相談したら、別にいらないんじゃないですかねと言われたのでつけてません。というか ロードバイクは、買った以来ドリンクホルダーつけたくらいで他は何もいじってません。レース中、DHバーやディスクホイールなんかをつけたお金かかってそうなTTやロードにかなり抜かれましたが、高そうなバイクを抜いた場面もけっこうあったので、やっぱり私が目指すのは高いバイクを手に入れることではなくて、しっかりエンジンを鍛えてあんまりいじってないバイクで高いバイクを抜きまくることだなと改めて思いました。
前半は30-40km/hくらいで順調にきて、30km地点くらいのところでサイコンをみるとAv32kくらい。ヨシヨシいいんじゃないのと思ってたんですが、周回コースから外に出てちょっといくと、鬼の登り。うわそういえばアップダウン激しくて獲得標高600くらいあると前日の説明会でいってたの忘れてた。このへんで一気に腰が疲れて痛くなってきて、もう楽しむどころではなく早く終わってくんないかな的な心境。腹も減ってきたので、背中のポケットにいれておいたランチパックと蒸しパンと固形エネルギー(クッキーみたいなやつ)を走りながら食べます。
なんとか進んでいくと、今回のバイクコースの目玉である南知多道路へ。南知多道路は自動車専用道路で、これを20kくらい閉鎖してバイクでワンウェイに走ります。これはスピードも出せてなかなか気持ち良いんじゃないの、と思ってたんですが、いざ行ってみると、鬼の逆風。必死でこいでもぜんぜんスピードでません。アップダウン激しいし。いったい何得。
途中で給水があって走りながらバイクボトルを受け取るのですが、これがアイアンマンロゴ入りのボトル。記念に欲しいと思ってもらって背中のポケットに入れてたんですが、いつの間にかどっかいっちゃいました。いま思えばトランジションエリアでバイクを降りて押して走り出した時に背中にユサユサを感じていたので、トランジションエリアで落としてしまったようです。残念。
結局バイクは後半でスピード落ちまくり、Av27kくらいで終了。

ラン

バイク→ランのトランジションは内海高校。高校生たちが誘導などやってくれます。ありがたい。走り出すと、ランていうかなんかトレイルみたいな道で笑える。畦道。ちょっとしたら舗装された道も出てきた、と思ったらまた田んぼの間をすりぬける砂利道。笑える。舗装道になったと思ったらまたアップダウン激しい。笑えない。しかしランはなんだかんだいってもこちとらいちおう100kウルトラフィニッシャーとしての意地もあります。バンバン抜きました。
ランのエイドは結構マメに10箇所くらいあるんですが、全エイドにレッドブルがあります。さすがアイアンマン。ほとんどのエイドでレッドブルのんで、フィニッシュ後にもレッドブルのんだので、2時間くらいの間に2リットルくらいのレッドブルのんだ。
走っていくと海がでてきて、遠くにゴール地点近くの内陸と空港をつなぐ橋がみえます。あそこがゴールかーと思いながら走っていくと、12k地点の看板。あと9kかーと思った時に感じたのは、あと9kで終わるという安心感よりも、もう終わっちゃうのかという寂しいような気持ちの方が強く、あぁ私もどうかしちゃったな、と思いました。そのまま無難に走り、ゴールがみえる直線に入ってからスパートかけて何人か抜いてゴール。
バイクAv30km/h以上とランサブ100minとのadditional目標は達成できませんでしたが、トータルタイムは6時間きったので満足です。

今度はいよいよ70.3じゃないリアルアイアンマンに挑戦したいところですが、あれって前々日の説明会から始まって3泊4日かけないと出られないみたいなんですよね。ウチはまだ子どもが小さくて、4日間つれてくのも家あけるのもちょっと難しいので、もうちょっと子どもが大きくなってからですかね。それか泊まりなしでそれぞれ日帰りでいける関東のどこかで開催してくれれば可能性ありますね。
噂では契約の関係で来年の北海道のリアルアイアンマン開催はなく、場所が変わるとか、そもそもアイアンマンJapanは無くなっちゃうんじゃないか説とかがあるみたいです。オリンピックトライアスロンを呼び込もうとしているお台場や横浜が実績作りを目論んでアイアンマン開催する、という可能性はなくもない気がするんですがどうですかね。湘南でやってくれたら近いし最高ですね、江ノ島を起点とするアイアンマンJapanなんて最高にエキサイティングだと思いますがどうですか。ダメですか。

フィクション・2015弁理士試験短答問題作成の現場から

H27弁理士試験短答問題

問[7] 枝4
飲食店の店内に置かれた「グルメの妖怪」というキャラクターが、飲食物の提供に際して、言語的要素のない一定の同じ音を発する行為は、音の商標の使用に該当する場合がある。

「今回の問題はこれでいきたいと思います」
「先生、これは…」
「なるほど、妖怪ですか」
「しかしこれは、世間に媚びていると思われるのでは?」
「いえ、やはり新しいタイプの商標の問題ですし、流行を反映したものでどうかと。どうでしょうか…?」
「私は賛成ですね」
「はい、近年の受験生数の低下、高年齢化もありますし、若い受験生にアピールする遊び心も必要と考えます」
「これが若い受験生へのアピールになりますかね…」
「インターネットのSNSや掲示板では多少なりとも話題になるでしょうね。ダンディ甲田の件も、天狗の件も、いまだに話題に上がります」
「インターネットでこの類の話題を持ち出して喜んでるのは若者ではなく主に中高年ですよ」
「しかし…」
「まあ、一見軟派なようでもありますが、音の商標の使用の定義や、音の商標における言語的要素の取扱いなど、基本的な知識と理解を問える問題であると思います」
「そうですね…。わかりました。」
「みなさんよろしいでしょうか」
「はい」
「それではこれで提出し、試験部会の最終判断を仰ぐことにしましょう」

大磯クリテリウムにいってきた(2回目)

先々月に引き続き、大磯クリテリウムにいってきました。今期はこれで終了のようで、次回は11月ですかね。ちょっと間が空くので、次回の時に今日いってみた感じを思い出せるように記録しておきます。

いやー面白いです。マラソンとかトライアスロンとかオープンウォータースイムのレースにはない緊張感があります。マラソンとかは基本的にタイムとの戦いなので自分との戦いなのに対し、クリテリウムは完全に相対的な他者との勝負。集団の中でのポジション取り、他の選手の癖や出方、脚の残り具合の観察と推測、集団から出る(出ない)タイミングの駆け引き、ここぞというときのスプリント勝負。フルマラソンとかに比べると時間の短いあっという間の勝負ですが、初心者なりに自転車レースのダイナミズムを体験させてもらいました。

集団走行セミナー(朝6:55集合、7:00-7:30)

朝イチで初心者のための集団走行セミナーというのがあって、前回は申し込みタイミングが遅れて応募者多数により参加できなかったので、今回はきっちりエントリ。20人くらい?で2列になり、コーチ(っぽい方)に引率されながらコースを回りました。走りながら先頭を交代したりしながら、レクチャーを受けます。
・コーナーのアウト→イン→アウトは危険。やめよう。というか反則(斜行)。
・曲がる前に無意識にかもしれないけどちょっとアウト側に振ってる人もいる。これもダメ。危険。気をつけよう。
・ロードバイクのレースは、マラソンとかとは違って、モーターレースに近い。周りの選手が互いに信頼し合い、ケガをしないように気をつけあわないと成立しない。
勉強になりました。コーチの方は「選手だった頃は・・・」とおっしゃっていたので元選手なんでしょうか。ジャージにマイクロソフトのロゴが書いてあったんですが、マイクロソフトって自転車チームのスポンサーとかやってるんですね。

試走(7:30-8:00)

レース前に、自由にコースを走って良い試走時間があります。前回は訳わからないまま終わってしまった感じですが、訳わからないなりに得た教訓を思い出しながら、サーっと何周か走ってコースを観察。コースはこんな感じ(公式ページより借用)。

小田原側に180°のコーナーが1つ、平塚側に90°のコーナーが2つ。走ってみた感じ、180°のコーナーでは充分に減速しないとコース外に突っ込みそうでコワイけど、90°のコーナーではそこそこの減速でやり切れそう。前回のレースの後は、「両端のコーナーで減速してからの半周ごとの勝負」なんじゃないかと思ったんだけど、どちらかというと180°のコーナーを基点とする1周ごとの勝負という感覚で良いのかも。180°のコーナー抜けた直後に試しにスプリントかけてみたら、時速45-50kmくらいまで一気に上げて、勢いに乗って力み過ぎず緩み過ぎずこいで90°のコーナーを2つ抜けてもう一度180°のコーナーに戻ってきたところで35kmくらいまでに下がっていた。私が出るピュアビギナーのクラスでは、前回の記録ではたしか上位の選手が平均時速35kmくらいの記録だった気がする。前半5周のローリングとコーナーの減速を考えても、「180°のコーナー回った直後に時速45-50kmくらいまで上げる→力み過ぎず緩み過ぎず戻ってきて35kmくらい」というサイクルを保てれば、そこそこ上位に食い込めるのではないか。

レース(9:20-)

直前のレースで落車があり、救急車が来ていたので20分押しでスタート。
前半はローリング。前回はじめて体験したが、集団でのローリング中は大して力んでないのに下り坂のようにケイデンスもスピードもけっこう上がる。・・・と思っていたんだけどたぶんここで舞い上がって余裕ぶっこいてたのが良くなかった。ローリング終了の6周目、スタート段階の団子状態の集団の中ではたぶん真ん中くらい。180°コーナーを曲がって、直前の選手に千切られないようについてく。まだ余裕ある。直前の選手に離されないように、90°のコーナーを2つ抜けて無難に戻ってくる。7周目の180°コーナー後、直前の選手に少し離される。全力でこいでサイコンをチラ見すると、アレ・・・?35kmくらいしか出てない・・・ぜんぜん45kmいかないぞ・・・すげーキツイのに!!千切られないように直前の選手だけみてたけど、気がついたらそのさらに前の先頭集団には完全に千切られてる。やばい。気がつけば心肺にキテる。ハァハァなってる。ことに気づいたら一気にゼェゼェなってきた。脚も売り切れ。力入らん。大腿筋が弾力を失ったゴムのようになってるこの感じ、これはフルマラソンで前半突っ込みすぎたときに30kmくらいから感じ始めるやつだ。この辺で心が折れる。折れるなりに頑張るけどもう脚も心肺も売り切れ。必至で踏んでるけど抜かれまくり。なんかスイマセン。ローリング中、余裕ぶっこいてる場合じゃなかった。思えばあそこでもう充分に脚は疲れていたんだきっと。そのままグズグズと最後まで。最終周では意地でそれなりに頑張ってスプリントかけるけど、ヘロヘロのままゴール。

帰り

レース終わって帰りに134号線を走っていたら、もうそれなりに脚も回復してて走れる。もう一度最後3周だけやり直させてくれと思った。そういえばフルマラソンのときも、だいたいいつも次の日くらいに「最後30kmからだけやり直させて欲しい」と思ってる気がする。

教訓

・千切られないように意識するのは直前の人ではない。先頭集団だ。先頭集団に千切られたら終わり。しがみつけ。
コーナリングでは、集団の後方ほど詰まり、コーナー抜けてから追い着くために脚を使うことになる。できるだけ集団前方にしがみつけ。
・ローリング後も残る脚を鍛える練習と、ローリング中に脚を温存する工夫を。ローリング中に舞い上がってケイデンス120で回し続けたり前にぶつかりそうになって脚を止めたりブレーキかけたりしてるのはたぶん間違ってる。ケイデンス90くらいで、脚を止めずにリラックスして回せるようにギアなりなんなり調整しろ。

その他

・競技規則、コーナー等は、回を重ねるごとに少しづつキャリブレーションして変更しているようだ。毎回しっかり確認しよう。
・前回はSPECIALIZEDのゴールアーチが(コース上じゃないけど会場内に飾りとして)あったんだけど、今回はなかった。それっぽくてカッコよかったのにな。ちょっと残念。

次期までにまた経験積んで、リベンジしたいス。ありがとうございました!

色の商標って例えばビアンキのチェレステ?

4月1日から、「新しいタイプの商標」という、「新しくなくなったらどうするんだろう」という余計な心配をしてしまう名前でよばれている商標の登録制度の運用が開始されました。巷では、久光製薬のテレビCMなどでおなじみの「ヒ・サ・ミ・ツ♪」のメロディーや、大幸薬品正露丸でおなじみの「パッパラパッパ♪」のラッパのメロディーなどが出願されたというのがチラチラ話題になっているようです。

http://mainichi.jp/select/news/20150408k0000m020086000c.html

音の商標もそうですが、色の商標というのも認められるようになりました。

玩具大手「タカラトミー」は列車を走らせて遊ぶおもちゃ「プラレール」の線路の色の青を出願。同社は59年の発売時からレールにこの色を使っており、広報担当者は「プラレールといえば青色。登録でブランドイメージをさらに向上させたい」と強調する。セブン−イレブン・ジャパンも、コンビニエンスストアの店舗に使うオレンジ、緑、赤の3色の組み合わせを出願した。特許庁の審査を経て、数カ月後に順次登録される見通しだ。

しかしこういう個別の出願って、特許庁守秘義務があって公表できるわけないですから、各社自ら発表してるんだと思うんですけど、わざわざ発表するのって大丈夫なんでしょうか。敵に塩送るようなもんというか、ヒサミツとかはほぼ確で登録できるんでしょうけど、青のプラレールとか微妙な気がします。競合他社がそんなん知ったら情報提供だか登録異議申立だかの準備はじめるような気がしますけど。

というのはさておき、知財職に従事するトライアスリートビアンキ乗りとして、ビアンキのチェレステって色の商標として登録されるのかなとフト思うわけです。で、まあ出願したら、され得るんじゃないですかね。しない気がしますけど。

ビアンキのチェレステはこれです。この青のような緑のような独特の自転車の色、この色をチェレステといいます。

チェレステ(Celeste)というのはイタリア語で碧空とか天空とかいう意味らしく、ビアンキ創業者で自転車職人のエドアルド・ビアンキが19世紀に当時のイタリア王妃のために自転車を制作して献上して自転車の乗り方を指導した際の、王妃の美しい目の色、という伝説があります。いい話ですね。この色をチェレステと呼ぶこと自体がビアンキ独特の文化だろうと思います。ウェブなんかでのカラーコードはPantone 333(#54dbc2)(C38/M0/Y27/K0)(■■■■■)ということになってるようです。

この色は自転車の需要者にとって、ビアンキだという識別力を発揮しています。街中でみかけたロードバイクやクロスバイク、マウンテンバイクなんかの自転車のフレームがこの色なら、ああビアンキだな、と思います。フレームの「Bianchi」の文字やマークがみえていなくても、です。

例えばウチの4歳娘さえも、もはやこの色を「チェレステ」として把握していて、先日、花見にいった時にテントの色をみて「このテント、チェレステだね」といっていました。さすがビアンキ乗りの娘。

まあさすがに指定商品「テント」についてチェレステカラーの「色のみからなる商標」は識別力なしだと思いますが、指定商品「自転車」についてチェレステカラーの「色のみからなる商標」は識別力あると思います。3条2項の適用を受け得ると思います。

とはいっても、他のメーカ(ルイガノとか)で似たような色の自転車もありますし、普通のママチャリでもこういう色のはあります。そういう意味では普通の色であるともいえると思いますから、26条の適用があったり商標的使用態様じゃなかったりして、権利行使はできないというか、し難いだろうなと思います。

しかし色ってのは、組み合わせならまだしも、一色ってのは権利化してもほとんどの場合に権利行使が難しいような気がしますが、どうなんでしょうか。

ちなみにこの自転車の色をチェレステと呼んでるのは独創性もあるし識別力もあると思いますから、指定商品「自転車」の商標「チェレステ」をビアンキが出願すれば登録できると思いますけど、プラットパットをぷらっと叩いてみると、してないですね。さすがに「ビアンキ」については商標登録されてます。商標登録「ビアンキ」の名義人は「グリマルディ・インドゥストリ・アクチボラゲット」となっていて、スウェーデンの、サイクルヨーロッパの親会社ですね。

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余談ですが、例えば元切込隊長のやまもといちろうさんのブログ背景の緑色も識別力あると思います。あのブログは業としてやってるといえると思いますし、役務の限定の仕方が難しそうですけど、ブログ背景とかでうまく特定して「色のみからなる商標」の出願したら登録され得るんじゃないですかね。しないでしょうけど。