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「あたし彼女」を読んだ

昨日、仕事の昼休み中にはてなブックマークをみていたら、「第3回日本ケータイ小説大賞:あたし彼女」というのが上がってきていて、ケータイ小説というもんを読んだことがなかったので真新しくてその場でちょっとだけ読んで、昼休み時間も残り少なかったんでそのうち読んでみっかなと思ってとりあえず読むの止めてタバコ吸ってたら喫煙所に若いやつがいたんで、
「いまケータイ小説っつーのちらっとよんでみたんだけどさー」といったら、
「あーそうなんすか、なんかどーせ病気になったり死んじゃったりすんですよね?」といわれ、
「あーそうなの?そういうもんなの?」といったら、
「いや別によく知らないですけど、なんかケータイ小説ってそんなんばっかですよね」といわれた。

それでちょっとピンときて、あーあのアラガキユイちゃんがやってたあのアレとかひょっとしてケータイ小説?ときいたら、そうですよ、といわれた。フーンそうなのかーケータイ小説ってそういうステレオタイプなアレなのかーと思ってなんか一気に冷めたんですけど、なんか気になったんで昨日の今日でさっき続きを読んでみたらハマってしまいまして、全部読んでしまいました。

いや、イイんじゃないでしょうか。イイと思います。

主人公というか語り部はまあ現代的といいますかその辺にいそうな感じの今風でモテる感じの23歳ニートの女の子で、ダラダラと不特定多数の男の子と遊んでいたんだけど、31歳のプチリッチマンで心に傷があるんだけどイイヤツみたいな彼氏と付き合うことになって、ホントの愛を知りました、みたいなそういう話。

小説といってもまあ小説という小説な感じではなくて、女の子のメールの語り口調で淡々と語られ続けるみたいな感じで、小説というとアレですけど文芸なのは間違いないですね。ケータイメールで知り合いの女の子の独白を聞いてるみたいな感じですかね。残念ながらというか幸いなことに?私は恋愛小説とか恋愛映画とかはあんまり読んでなくて比較対象のストックがないので、アレと比べてどうだとかこの展開やこの場面はあのアレのパクリだなとか細かいアレはわからないしフツウに楽しく読めました。そんなに長くもなくてパラパラっと読める感じなんで、電車の中で本とかないし特にメールもきてないみたいなときに読んでみるには良いんじゃないですかね。

これを読みながら思い出したのはやっぱり「乳と卵」で(アレに対する石原慎太郎さんの感想は「一人勝手な調子に乗ってのおしゃべりは私には不快でただ聞き苦しい。」でしたね)、ウェブ時代で誰もが情報を発信できるようになったからこそでてきた「新しいタイプの文芸」という感じです。「あたし彼女」は多分そういう総表現社会なウェブがこれから生み出していく様々な「新しいタイプの文芸」の片鱗なんだと思いますし、ウェブカルチャーが生み出す新たな未来みたいなのにワクワクする人は、教養として読んどいて良いと思います。